3章 童貞失格
勘違いの多い人生を送って来ました。
自分には、非童貞の考えというものが、見当つかなかったのです。
ある日、教室に入ると、自分の席に見知らぬ女子生徒が座っていることを知りました。
ときどき自分の席に、見知らぬ男子生徒がなに食わぬ顔で座っていることはありますが、そのように女子生徒が座っていたのは、初めてでした。そう、女子生徒。
私は、あのようにして、他人の席に軽々しく座る女子生徒が、とても怖く感じることがあります。
いま座っているチェアの主が、男とも女とも、わからぬであろうというのに、また、数ある席の中から、なぜその席に座ったのかという疑問が、自分のハートを、ざわざわと波立たせるのです。
また、自分とその女子生徒は、もしかすると、お互い忘れ合っている幼馴染なのか、もしくは、自分に一目ぼれをしており、椅子に座ることで、興味を引こうとしているのではないかと、考えてしまうのです。
ですが、私は所謂ボッチであり、友人どころか知り合いもおらず、彼女も女友達もおらず、クラスでやや嫌われていますので、私の席に望んで座りたがる人間など、いないのです。
ましてや、私の席に座っているその女子生徒は、可愛らしく、タンポポの綿毛のように柔らかな印象を抱かせる、女子生徒。そんな女子生徒が、私のようなキモオタボッチ童貞の席に座るなど、あり得ないことなのです。
ですがだからこそ、童貞で、女性に不慣れで、非童貞の考えが分からぬ自分は、思ってしまうのです。
あれ? こいつ俺のこと好きなんじゃね?……、と。
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