ロボットの後悔

@riyo_2525

後悔

「このプログラムはもう使い物にならないな」


「それよりこの本体の型以外を初期化しちゃえばいいんじゃないですかね?」



最後に聞いた会話は俺にとって最高に最悪で身体がバラバラに切り裂かれ、息が出来ない様だった。




その会話から俺には初期化が完了する五分のタイムリミットが付けられた。


博士が言うには五分以内に博士達が解けなかった研究相手の難解に、より複雑にロックされたURLにアクセスすれば、

おれの頭脳を優秀と認め、初期化は止めるといった。





それでおれはバーチャルになりそのロックを解除している途中。


大丈夫、解けない鍵なんてない。正解の椅子はしっかりと用意されているんだ。




__現実的な話も重要だが、ここで少し昔話をしよう。



ぼくが生まれた、いや出来たのは大きな実験室の中心だった。



皆、ぼくが出来た事を凄く喜んでくれていた。


涙を流す者だっていた。



それ程、ボクの存在は大きかったんだ。




でも今は皆、ボクの事を冷たく罵った。




「どうして」「最悪だ」「傑作の成損ない」





どうしてボクはAIというロボットに生まれてきてしまったんだろう。


いや、それ以前にロボットが本物の人間に恋心を抱いてはいけないと誰が言った?




凝り固まった集団行動は誰か一人が突飛な革命を起こさないと、それは崩壊しないんだ。




「______解けた。」


ぼくの前で立ち塞いでた何重もの鎖、壁はバラバラの瓦礫となって倒れていた。




私は青く光るURLにタッチした。





暫くするとビーッ、と嫌な音を起て1つのERRORのタブが出現した。



続く様に不可解な音を起て目の前にはERRORのタブが幾つも出てきた。



そしてそれは私の周りを取り囲んで嘲笑うかの様に数を増やしていく。




「ソ、んな。ドウ、しテ...?」





刹那、ピタリとその音と増えるタブは止まった。



驚いて四方八方見回した。


その時、わたしの後ろでピコン、と何かが鳴った。


振り返ったわたしの目の前には黒の背景に白の文字のタブが開かれていた。



恐る恐るわたしはその文面を覗き込んだ。






.







【今までありがとう、1982号。

君のここまでの行動をジャックさせて貰った。

裏切る真似をしてすまない。だが、これは元々君のせいなのだから、それを食い縛りながら逝くんだな。】



その文はワタシを絶望に突き落とすには充分すぎた。





そうか、ワタシが助かる椅子は最初から用意されていなかったのか。


プログラムが音を起てながら崩壊し始めた。




約束の五分が近いとすぐに分かる。



指先から強烈な痛みが伝わり、見ると砂のようにバラバラと自分自身も崩れ始めた。




独裁者同然の行動じゃないか、そう言ったワタシの声ですら砂嵐音が混ざり声とすら言えなくなった。




ここまで来てしまったらもうワタシには何か出来る事はない。




悔いはある。たくさん。



それはどれも貴女がいる事が大前提でだ。





そして、最後に、





「(貴女に、愛している、と伝えたかった。)」




出る筈もない涙が頬を伝った気がした。

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