辛い時でも上を向け

黒鳥 -Kurodori-

第1話 ~目覚め~

「いてっ・・・」

頭に強い痛みが走り、目が覚める。

ふと時計に目をやると、時刻は8時半をさしている。

焦ったように支度をした後、私は会社が休みになったことを思い出した。

「あ~もう・・・ こんなことならもう少し寝とけばよかったぁ・・・

 それにしても、昨日は飲みすぎたなぁ・・・ 頭痛いぃ・・・」

そうつぶやきながら、私はリビングへと足を運ぶ。

キッチンに立っていた私の母が、私に気付いて、

「おはよう明日香。」と話しかけてくる。

私は、須藤明日香(すどうあすか)。

大手アニメーション制作会社で働く、23歳。

話しかけてきた私の母は、須藤暁子(すどうきょうこ)。

近くのスーパーでパートリーダーをしてる30歳。

「ん・・・、おはよ。」

昨日の晩、『明日は会社がないから』と言って、

夜遅くまで飲んでいたのだ。

あぁぁ・・・、今考えたら、なんと馬鹿なことをしたんだろう、私。

後悔しながら、机の上に準備された朝ごはんを頬張る。

あぁぁ・・・、やっぱり美味しい・・・!

「今日は会社休みなんだし、息抜きでもしてきたら?」

そうお母さんが私に告げて、一万円を渡して、リビングを出ていった。

恐らく洗濯物でも干しに行ったんだろう。

それより、一万円!

今日は休みだし、何しよう・・・!

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