ドリーム・アリウム

 夢だった。世界は無意識に模られた、私の腐り果てた脳味噌だったのだ。例えば。登場人物に紛れ込んだ己の輪郭。例えば。物語に塗り潰された悪役の良心。例えば。作者に対して復讐を成す、捻じ曲げられた『悪夢』の副産物。例えば――兎角。私は夢の主で、誰にも否定不可能な『現実』の支配者で在ったのだ。過去で在る。総てが過去の栄光で在り、未来に溜まる最悪への導きだ。さて。結論を吐き散らそうか。私は遂に夢からの反逆を受けた。てけりりと啼き始める泡沫が、地獄よりも恐ろしい『もの』を齎したのだ。ああ。ナイアルラトホテップ! 彼等の千が私達を蝕むが如く、私は私の堕とし仔どもに殺されるのだ。神が寛容なのは『物語』の中。紙に刻まれた列程度。此れが私に向けられた代償で、題章を越えた所業だと知れ――関するものだ。場所だ。施設アリウムじみた牢屋を脱し、数多の登場人物が憤慨を晒す。黄色を纏った王様が囁いた。印を発見する前に己の在り方を嘲笑するな……繋げるのか。繋げるのだ。おお。彼だ。彼ならば私に味方する。最も人間的な彼ならばな……ごうん……飛び散る脳漿アリウムと、解放された星々奴隷ども。


 悦びに身を投げた、朽ちる星々悪夢ども。

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