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「今日は暇そうね」

「たまにはそんな日もなくっちゃね」

「そうね。誰も居ないから少し来ない間に腕が落ちたのかと思ったわ」

 う、そうじゃないと信じたいね。

「いつもあなたは忙しそうだもの、たまにはこんな日がないとね」

 悪態を吐いたかと思えば、次に彼女はそんな言葉を口にして小さく笑った。

 どうしてかホッとしている自分に自分でも驚く。

「最近すごく暑いけれど志麻ちゃん、熱中症とかは大丈夫?」

 凄く線の細い子だからなんとなく夏の暑さとか冬の寒さとかに弱そうなイメージがある。けれど彼女はあっさりと答えた。

「あなたが心配するほどじゃないわ」

 ・・・さようですか。

「もともと夏には弱いから、どうしても夏バテはするのよ。あなたはどう?」

「元気だよ、おかげさまで」

「変な事を言うのね、私は何もしていないのに」

 とくに深い意味も無く言ったのに彼女にそんな言葉を返されて、つい口元が緩んでしまう。

「元気ならそれでいいわ。身体を壊されては困るもの」

「志麻ちゃんが困るの?」

「だってお酒が作れなきゃ、私の誕生日を祝ってもらえないでしょ?」

「誕生日?」

「私、もうすぐ二十歳の誕生日なの。ここでパパにお祝いをしてもらう予定よ。だから身体を壊されちゃ困るの」

「・・・なるほど」

 だから、困るね。うん、そうか。

「分かった、それじゃぁ健康にもっと気を使うことにするよ」

「絶対よ? 約束なんだから」

「はいはい、仰せのままに」

 これでこの夏の健康は約束された? なんてね。

「何か冷たいものを頂戴、スッとするものが良いわ」

 お、ならノンアルコールで試しに作ってみようか? 彼女なら感想を隠さずに言ってくれそうだし。

「志麻ちゃん、フローズンはお好き?」


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