マリウス・チューブ 月は無邪気な夜明けの王女

参考文献：二〇四一年発行

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　――そして、二〇〇九年六月。ＪＡＸＡが開発した月周回衛星『かぐや』(英名：月の女神（セレーネ）)の一年半に及ぶ運用が終了した。

　アポロ計画以来最大の月探査計画と呼ばれた探査ミッションにより『かぐや』は数えきれない成果を挙げ、その後も地上でのデータ解析により多くの発見がなされる。

　中でも二〇一七年に発見された月面地下空洞、通称『マリウス・チューブ』は月面基地開発の最有力候補地とされ、長らく停滞していた人類の宇宙開発を再び動かし始めることになる、偉大な功績であると讃えられてきた。

　二〇五二年を目途に計画が進められているマリウス月面基地建設計画（マリウス・ベース・プロジェクト）、世間では『月は無邪気な夜明けの王女（ザ・ムーン・イズ・ア・イノセント・プリンセス）』計画などとも呼ばれている月面開発計画の最も有名な発端としても、読者の皆様には馴染み深いものであるだろう。

　立派に自らの任務を成し遂げた日本の『姫君（かぐや）』に、万歳！

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　アームズバー・スミス著、幸田友恵訳

　『人類と月』二〇四一年発行