お初にお目にかかった憑依ファンタジーですが、面白かったのは設定だけではありません。憑依して何でもうまく進むテンプレと違って、その設定やスキルにも一筋縄でいかないことが多くあり、共感の持てる主人公・亜忍が必死にその中で戦っていく胸中がすごい良い。凝ってるのにすーっと落ちてくる異世界ファンタジーをお勧めします!
人格消失病により、異世界に別の人格で存在。その病気にかかったものは、特有魔法アルス・マグナを使えるようになる。主人公の特有魔法は変わってます。魔法の属性に関する設定もよく作られてます。淀みは、悲しみや憎しみなど、負の感情が増せば増すほど、増えていく。淀みは、厄災や疫病を蔓延させ、妖魔を生み出す。これらがおりなす世界観がいいです。特徴は独創性の高い設定でしょう。変わってるだけでなく、かっこいいです。まだ途中ですが、今後の展開が楽しみです!
ある日起きたら自分の人格が別人に乗り移る、素晴らしい発想ですです。まだ謎の多い作品ですが、続きが気になります。
ある日突然自分の身体が変わってしまったら。よくある意識の同居が『できない』はなし。普通に考えて人間は"一人用"なのだから。同じ"水"なら色が混ざるけれども、水と油なら分離する。押しのけて――こぼれてしまうことだってある。押しのけてしまった者、押しのけられてしまって取り残された者。優しいウソ、取り繕うウソ。何よりかわされる1つ1つの言葉には、ほんの少し毒があるようで。他人を、そして自分を偽ることに苦しさを感じるところがとても人間味のある部分だと思います。
異世界転移、もしくは憑依の異世界ファンタジーです。その上で、人格消失病やレガトゥースなどの作者のオリジナルの用語が、私達に馴染んでしまった異世界に行くという異常事態にリアリティを与え、異世界の人々にとっても大事なのだと教えてくれます。物語としてはまだまだ先がありますが、導入の時点で丁寧に作られた世界観が貴方を引き込んでいくことでしょう。