4-2.〝メルカート〟について

 こちらでは、物語世界の裏に根を張る〝メルカート〟についてご紹介します。


 ◇


 〝メルカート(Mercato)〟はイタリア語で〝市場〟を意味します。

 表の物品から裏の品まで手広く扱う、言ってみるなら〝裏流通組織〟というところでしょうか。

 作品世界では惑星〝テセウス〟、第2大陸〝リュウ〟の広い範囲に勢力を伸ばしています。

 地図につきましては、当『【副読本】』の『1-3.【画像注意】惑星〝テセウス〟概略地図』をご確認いただけましたら幸いです。


 〝メルカート〟の由来を辿ると、イタリア系連邦市民の互助組織へと行き着きます。

 〝狂乱〟の惑星〝テセウス〟入植当時(第二次資源統制当時)、わけても開拓の行き届いていなかった第2大陸〝リュウ〟へ、イタリア系連邦市民は押し込められたという経緯があるのです。

 過酷な開拓期を生き延びるために結束したイタリア系連邦市民は、物資や情報を互いに融通することから始まって、ひいては外部との流通経路を獲得・拡充するべくコネクションを充実させていくこととなります。


 組織構成で重要視されるのは、ドン(首領)を始め組織中枢を占める一族の血筋。

 〝メルカート〟の原型である互助組織、その中心で献身的に活躍した一連の家系は、必然として周囲からの尊敬を集めました。

 その流れを現在の〝メルカート〟も引き継いでいます。


 現在のドンは、セルジオ・マルティネッリ(Sergio Martinelli)。

 No.2は、ジュゼッペ・ナヴァッラ(Giuseppe Navarra)。アントーニオ・バレージの上司です。

 No.3は、ピエトロ・ドナトーニ(Pietro Donatoni)。


 それぞれの家系は、互助組織当時から人望を集めています。その家系の中でも、前途有望と目された人物が家督を継ぐのが習わしです。

 この点、ドン・セルジオ・マルティネッリは悩みのタネを抱えています。

 温厚な長男ジャコモ・マルティネッリに対して、次男オルソ・マルティネッリは切れ者で野心家なのです。

 次男オルソの野心だけでは身を崩すこともあり、また長男ジャコモの人望がむしろ篤いこともあり、後継者としてはNo.2のジュゼッペ・ナヴァッラの推すジャコモが有力視されています。

 ただ、No.3のピエトロ・ドナトーニも、野心という点では次男オルソとともにあきらめてはいない模様。オルソを支援して実力主義を通そうと目論んでいます。


 ◇


 このように、〝メルカート〟とて一枚岩ではありません。

 これが物語にどう関わってくるか――というポイントもお楽しみいただけたらと考えます。


 本作品に関わってくださった全ての方へ、感謝を込めて。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

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