2-5.車輌設定(1)

 こちらでは、作品世界で代表的な車輌についての設定をご紹介して参ります。

 名称に○印を付したものは、第2章までに作中に登場したものです。


 ◇


【フロート・エンジン搭載車】:フロート・エンジンの原理は基本的にホヴァクラフトと変わらない。

 ただし空気を閉じ込めるスカートの部分がハイテク(=高コスト)で、気体分子のエネルギィ分布を反転させる力場を生成して、エンジン下部に高温・高圧の空気を閉じ込めている。

 この関係上、フロート・エンジンの採用例は尖った性能を求めるか、悪路の走破性を求めるかに限られる。



【フロート・バイク】


○名称:FSX989(Float Speeder eXtra)

・メーカ:ツカガワ・カンパニィ

・使用者:ジャック・マーフィ(パーソナル・ネーム〝ヒューイ(Huey)〟)

・プロフィール:元は耐久レース向けの機体を市販化したもの。

 耐久性を重視するがゆえに、負荷あたりのパフォーマンスに優れる。

 最高速度よりは機動性(加速、曲がる、止まる、跳ぶ)を重視した設計思想の産物。

 耐久レース向けゆえ、出力に比して車体が軽いため、熟練すればするほど速く走れる。逆に熟練しないと速く走れない。

 フロート・エンジンの特性上、悪路に強い。無人運転時には空力特性優先で車体を折り畳み、コンパクトになる。



○名称:マリオッティ Mk.12

・メーカ:マリオッティ(Mariotti)

・プロフィール:最高速度は特に速い。絶対的出力が高く、あらゆるシーンを力でねじ伏せる。

 元々接地面のないフロート・エンジン搭載車であるため、力で車体を振り回す真似も可。

 ただし価格も絶対的に高い上、乗り手の方が振り落とされないように車体をさばく技量を求められる〝暴れ馬〟。



○名称:ツバサ1000(Tsubasa One-Thousand)

・メーカ:ツバサ・フロートクラフト

・プロフィール:フロート・クラフト専業メーカ、〝ツバサ・フロートクラフト〟のハイ・エンド・バイク。

 力押しでなく、負荷あたりのパフォーマンスを最大化することで、結果的に〝高パフォーマンスで走る〟ことを目指す。

 このため絶対的なパワーで抜きん出ることはないが、〝加速・減速・旋回〟を高い水準で実現する。

 ツカガワ・カンパニィのFSX989と並んで耐久レース上位の常連。




【フロート・カー(Float Car):オン・ロード型】:最高速度と機動力を併せ持つ車体。フロート・エンジンのため道も選ばない。


○名称:エア・スピーダ・ハイウェイ・パトロール(Air Speeder Highway Patrol、原型はエア・スピーダ)

・メーカ:ダヴェンポート・ヴィークル(Davenport Vehicle)

・使用者:警察(ハイウェイ・パトロール)

・プロフィール:出力が高く、また接地面がないフロート・エンジンの特性を活かして、力であらゆるシーンをねじ伏せる。

 例えば最大加速度は2.0Gに及ぶ。圧倒的に高価な〝じゃじゃ馬〟。

 〝直線番長〟とも揶揄されるが、使うものが使えば曲がる、止まる能力も引き出せる。

 質量約2.5トン。ただし、価格と維持費は最悪。



○名称:風神(Fu-Jin)

・メーカ:ツバサ・フロートクラフト

・プロフィール:車体を軽量・高剛性に設計し、羽のごとく小回りの利く車体。

 小回りのためにフロート・エンジンの質量(出力に比例する)を敢えて抑えている。

 サーキットや街中のチェイス・シーンでその威力を存分に発揮する。質量比あたりの出力ではエア・スピーダにも勝る。

 最大加速は2.2G、ただし直線の最高到達速度ではエア・スピーダに勝てない。質量約1.2トン。



○名称:ペガサス(Pegasus)

・メーカ:アキレウス・インダストリィ(Achilleus Industry)

・プロフィール:スポーツ・タイプ、2シータ。フロート・エンジンが車体に比して大型で、車幅が広い。

 フロート・エンジンの大きさに伴って出力は上げやすく、レーサのベースとしてよく使われる。

 現行で9世代目だが、マニアの間では比較的軽量だった第7世代の人気が高い。

 その理由は質量とパワーのバランスが優れている、という点にある。



○名称:カエルム(Caelum、ラテン語:空)

・メーカ:ウェントゥス・コーポレーション(ventus、ラテン語:風)

・使用者:エミリィ・マクファーソン

・プロフィール:中上級セダン。乗り心地をある程度追求した型(長距離移動を考慮)。

 乗り心地向上のために車体剛性が高く設計されており、また上級車の弟分という立ち位置と相まって、フロート・エンジンの搭載スペースに自由度がある(販売時のエンジン・ヴァリエーションが広い)。

 そこを活かしてエンジンを高出力型に載せ替えると化ける。そのチューニング余地は「天井知らず」とも言われる。

 コスト・パフォーマンスに優れる。ただし、車体剛性が高いとはいえ所詮は市販車のそれであり、エンジンのパワーを上げ過ぎるとシャシィが負け始める。

 その他の利点としては、高パフォーマンスを追求しても一見して判りにくい(ポリスに捕まりにくい)という面もある。

 情報屋のような「目立ちたくないが、いざという時の逃げ足は確保しておきたい」稼業ではよく利用される。



○名称:テッラ(Terra、ラテン語:大地)

・メーカ:ウェントゥス・コーポレーション(ventus、ラテン語:風)

・プロフィール:カエルムの兄貴分に当たる上級車。乗り心地を追求した型であり、車体剛性が高い。

 その特性を利用してチューニングを施すと、弟分のカエルム以上に化けてハイ・パフォーマンス仕様となる。

 ハイ・パフォーマンス仕様はパトカーの採用例が多い。



○名称:コング(Kong、デンマーク語:王)

・メーカ:ダヴェンポート・ヴィークル(Davenport Vehicle)

・プロフィール:大型バン。

 その搭載量に反してフロート・エンジンのチューニング余地が大きいため、便利に改造されて使われることが多い。

 ゲリラや地下組織の脚として重宝されることもしばしば。



 ◇


 オン・ロード型まで収録したところで、ほどほどの文字数となりましたね。


 え、登場車種の割に裏設定が多い?

 ライン・アップが偏っていると、設定として見応えに欠けますので。――まあ趣味ですから。

 続きはまた次回に収録させていただきましょう。


 本作品に関わってくださった全ての方へ、感謝を込めて。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る