泣きたい

お前と初めて出会った時…お前は俺より年下なのにリンゴを食べて大人っぽかった。


お前に出会う前の俺は泣いてばかりいた。


酒、タバコを覚えた。


「どう?」


お前はにやけた顔で聞いて来た。


無理して俺は無表情でまーまーと答えた。


リンゴ、タバコ、酒。


指先で全てを壊した俺は溺れた。


お前は、ヤンキーだったけど夜の住宅街では優しい少年だった。


ありがとう。


あの時の夜を一緒に過ごしてくれて…。


泣きたいよ!大人になった今でも

でも、そんな時は思い出すんだ

お前を。


「泣いてスッキリしたか?」


たぶん、アイツはそう言うだろう。


新しい風と共にアイツは突然死んだ。

ずっと隠していたんだろ?

強がりなお前の事だから。


今晩だけは、リンゴをかじって夜の住宅街を一人散歩する。


サヨナラ、リンゴ。

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