実況妖精

桜牙

talk1:缶詰

「おーっと。帰宅して来た男が缶詰を握ったまま、ウロウロと辺りを見回して。何やらものを探している。どうやら缶詰を買って来たはいいが缶切りが見つからないようだ。さー、これは困ったことになってますね。男はどうやってこのピンチを乗り越えるのか中々の見ものですね。突然すみません。私は実況の佐藤で隣に座っているのはーー」

「解説をさせて頂きます。私は鈴木と申します。皆様よろしく」

「鈴木さんこの状況どう思いますか?」

「よくない状況ですね。缶切りがないと缶詰が開けれませんからね。代用になるものも私には少し思い当たりません」

「おっと、これはハサミだハサミを持ち出して開けようとしている。どうでしょ鈴木さん。これで開けれますか?」

「ハサミですか。どうでしょうね。実はハサミはせん断応力によって切るのでの果たしてこれで開ける事が出来るのでしょうか」

「ハサミの先で刺したりして開けようと試みてるがやはり無理なようですね。早々に諦めたようですね」

「やはり、ハサミでは無理なようですね」

「次はどのような手で缶詰に挑むんでしょう。おっと次は包丁を持ち出して来ました。これはどうでしょ鈴木さん」

「これは少し危険ですね。下手したら怪我でもするんじゃないでしょうか?」

「先ほどのように刃先で刺そうとしてますがやはり危険なのが分かってるのか少しためらっていますね」

「そうですね。やはり、怪我を恐れているんでしょうね」

「包丁を使用するのは諦めるんでしょうか?」

「どうでしょう。ただジャガイモの芽を取り出すようにあそこでやればまだ可能性があるんじゃないでしょうか?」

「そうですね。おっと彼も同じことを考えてたのかジャガイモの芽を取り出すように開けようと試みてますね。どうでしょう。あー、しかし、これでは開かないようですね」

「そうですね少しは凹んではいるみたいですがうまく力が伝わりにくいんでしょうね」

「こうなると開けれるかどうかも、あーーー、これはいけません。イライラしたのか缶詰を床に叩きつけてますね」

「そうですね。これだと開いたとしても中身が床に飛び散ってしまいますし。床も凹んでしまいますね。」

「ちょっとこれは、やはり缶切りがないと 開かないのですかね。あっと、諦めたのか部屋を出て行きましたね。缶切りを買いに行ったのでしょうか?ここで一旦実況を停止させてもらいます」

「佐藤くん佐藤くん」

「はっ、すみません、少し寝てしまいました。彼が帰って来た模様です。缶切りを買って来たのか?」

「どうでしょう何か持って帰って来てるようには見えますが」

「でもこれは缶切りではないようですね。なぜ缶切りを買わなかったのでしょうか?どうやら、釘と金槌のようですね。」

「なるほど、これでたくさん穴を開けて開けようというのですね」

「どうやら鈴木さんの言うようにしそうですね。ただこれはすごく時間がかかりそうですね」

「はい、でもこれで確実に開くでしょう」

「少し時間が経ちましたがが23個目の穴を開けた所で缶詰が開いたようです。それでは決着がついたようなので、そろそろお別れの時間ですね。それでは実況を終わらせていただきます。実況は私、佐藤が」

「解説は私、鈴木がお送り致しました」

「ではまた、どこかで別の戦場で」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

実況妖精 桜牙 @red_baster

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ