僕らは…最終話
* * * * *
「遅い、冬夜」
「悪かったって。お前が来るのが早いんだよ。卒業式なんだから、俺以外の奴とも話したらどうだ? お前はこの学校の生徒会長なんだから」
「大丈夫、挨拶なら済ませた。今日は冬夜に伝えたいことがあって、生徒会室に呼んだ」
「伝えたいこと?」
「冬夜、改めて告白する。僕は冬夜のことが好き。だから僕と付き合ってほしい。駄目、かな?」
紅蓮の頬は今まで以上に蒸気していた。
耳まで真っ赤で、俺に告白するのが相当恥ずかしかったんだろうというのが手に取るようにわかった。
俺の答えはもう既に決まっていた。
「俺が嫌だ……なんて言うと思ってるのか? 俺は紅蓮のことを中一の頃から好きだったんだぜ?」
俺は何の躊躇いもなく、そう答えた。
「っ……」
「なんで泣いてんだよ、紅蓮」
「だって、冬夜が僕のことを好きだって言ってくれたから。今まで冷たい態度を取ってごめん」
「紅蓮、お前……」
なんて、愛しいんだろう。それと同時に次は恋人として、コイツを守りたいとも思った。
俺に好きだと言われ、嬉しくて泣いてしまう紅蓮が可愛いと感じた俺は、言葉を言い終わる前に紅蓮を抱きしめていた。
「冬夜」
「お前は可愛いな、紅蓮。でも、せっかく結ばれた日なんだから、笑ってくれよ、な?」
「冬……んっ……」
紅蓮の両頬を両手で包み込むようにしながら、俺は紅蓮にキスをした。
唇を離したあと、さっきまで泣いていた紅蓮の頬がまた赤くなっていた。
「今度からは遠慮なくキスするからな。好きだぜ、紅蓮」
「ありがとう、冬夜。……僕だって、冬夜のことが好き」
普段はしっかりしてるが、俺の前ではちょっぴり泣き虫な紅蓮。
いつも紅蓮に迷惑をかけている問題児の俺。
これから先、どんなことが待ち受けているんだろう?
それは、付き合ったばかりの俺たちにもまだわからない。
俺と紅蓮はその日、ただ一つの愛を誓った。
~fin~
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