僕らは…22

それから一ヶ月後が経ち、全校集会の話題は神崎紅の時よりも学校中の話題になっていた。

だが、俺は全校集会で、紅蓮に告白したことを後悔はしていない。


むしろ、全校生徒に紅蓮が好きということを伝えられて、俺はそれだけで満足だ。


全校集会が終わってから、紅蓮を生徒会長をおろせという苦情はほとんどなくなり、そのお陰で俺と紅蓮は星ヶ丘高校の生徒会長と副会長として生徒会業務をこなしていた。


一部では同性同士の恋愛なんて理解出来ないという批判もあったが、その一部で交際禁止の学校で退学を恐れず、全校集会で自分の素直な気持ちを言えるなんて感動したという意見もあった。


そんな噂が経って、気がつくと、高校卒業式当日になった。


あとから知った事実だが、紅蓮が全校集会を開く前に、前々から先生方に交渉していた「恋愛の自由化」が許可されたという。中学の頃から、紅蓮が実現させたかった夢が叶ったというわけだ。

今まで生徒が言っても、覆されることのない校則を紅蓮は変えてみせたのだ。


俺が見ていないところで、アイツは相当の努力をしていたのだろう。

ただ、恋愛の自由化の事実は俺達の学年しか知らないという。


その事実を知ってか、紅蓮を見る目が変わったとか。


俺は教室で紅蓮に「卒業式が終わったあと、生徒会室に来てほしい」と言われていたので、卒業式が終わった後、生徒会室に向かった。


卒業式にまで、生徒会室に来いなんて何の用なんだ?


俺は生徒会室の扉を開けた。そこには紅蓮の姿があった。

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