僕らは....5
新聞部が活動中止になってから、一週間が経った。
七月の期末テストが無事に終わり、夏休みに入った。
夏休みの宿題は紅蓮から「七月中に終わらせること」とメールが来たので、それに従うことにした。紅蓮のことだから、八月も生徒会室に毎日来させるつもりだろうと、俺はやる気のしない夏休みの宿題のプリントを机に広げては、ため息を吐いた。
紅蓮は口は煩いからな……今月中までに宿題を終わらせないと、また例の反省文が待っている。それだけは嫌だと、俺は手を進めた。とはいえ、反省文を出されても、反省文を書くとは言ってない。
***
夏休みに入ってすぐに宿題に取り掛かったおかげで、無事に夏休みの宿題は七月中に終わり、 俺は紅蓮と毎日のように生徒会室で生徒会の仕事をしていた。
確かに親友の紅蓮と一緒に過ごせるのはいい。だが、生徒会業務は、はっきり言って面倒だ。
早く放課後にならねえかなと考えていた。
大体、一日中学校に居るとか、これじゃあ夏休みの意味がないだろ……などと思っていると、紅蓮にドヤされた。
またも反省文か、というと
「そんなにいうなら、お盆までにする」
「……! ありがとな、紅蓮」
俺があまりに小さな子供のようにワガママをいうので、紅蓮がしびれを切らして、俺の意見を聞いてくれた。
それから、俺はお盆までの間、紅蓮と一緒に真面目に生徒会業務をした。
あっという間に、お盆前日になり、俺は明日からの夏休み計画を立てていた。
まぁ、家でダラダラ過ごすのが好きな俺に誰かと遊ぶ予定もないが。
紅蓮は一日中、家で本でも読んでそうなイメージが容易に想像出来る。
「お疲れ様、冬夜」
「ああ、紅蓮もな」
かなり頑張ったせいか、俺も紅蓮も疲れていたようで、互いの家へと真っすぐ帰った。
生徒会業務もない俺は夏休みを満喫した。とはいえ、八月中旬。この炎天下の中、外に出るなんてありえなかった。
こうして家でダラダラして過ごしているのも、七月中に夏休みの宿題を終わらせたからだろう。
そういう意味では、メールで夏休みの課題を七月中に終わらせることとメールしてくれた紅蓮に感謝するべきだな。
それから、あっという間に夏休みは終わりに近づいた。
「夏休みっていうのも早いもんだな」
と、自分の部屋で呟いていると、俺の携帯に一通のメールが来た。
「何故、夜の学校に集まることになってるの?」
「俺に聞かれてもな……クラスの奴がメールしてきたからだろ」
クラスの一人から、クラス男子全員に一斉メールが来た。
内容は「今日の夜九時、クラスメイト男子は学校の校門に集合」とのことだった。
「神崎に会長も……来てくれたんだな!」
「お前が主催者か……」
「夜の学校は立ち入り禁止のはずなのですが、何の用ですか?」
家でのんびりしていた俺は当然やる気などなく、ため息をついては面倒くさそうという態度を見せた。紅蓮はというと、校則を守る会長として主催者を叱っていた。
「まあまあ、それはちゃんと説明しますから、こっちに来てくれ!」
「……」
紅蓮の説教など無視するように、俺と紅蓮の服を引っ張り、皆が集まっているとこに連れて行こうとするクラスの一人。
紅蓮は俺に助けを求めるように視線を俺のほうに向けてきた。
何も言わず、俺のほうを見るときは大抵が助けを求めているときだ。
「とりあえず、此処にクラスメイト全員を集めた理由を聞いてからでもいいんじゃないか?」
「……うん」
納得した紅蓮と主催者の話を聞くことになった。
「クラスメイトの男子の皆、よく集まってくれた! 俺達は、あと半年でこの高校を卒業する。だから思い出作りと度胸試しのため、肝試し大会を開催する! もちろん、男だけ集めたのも度胸試しということで、全員一人ずつ回ってもらう。皆、準備はいいか!」
「おー!」
皆の掛け声と共に思い出作りと男達の度胸試しの肝試し大会が始まった。
「ルールは至ってシンプル。今から地図を配るから、その地図に書いてあるルート通りに歩き、最後に立ち寄る場所にお札があるから、それを手にした者から、元の場所である、この校門に戻って来るというルールだ!」
盛り上がっている状態で、帰るということは、男として度胸がないということだ。
それこそ、新聞部の標的にされること間違いなし。
「校門の鍵は昼に職員室から盗んできたので、安心していい! さあ、学校へ侵入するぞー! まずは一人目―!」
一人目が学校の中へと入り、五分経ってから二人目が向かうという形だ。
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