再臨!おっぱいが大きすぎる女勇者ちゃん

小紫-こむらさきー

第1話 真っすぐ飛んで!私のチクビィィィィム!

「え…あっ…ダメ…出ちゃう!そんな…。

 みんな逃げて!ごめんなさい!」


 私の胸についている忌まわしい胸部は、パンパンに水を入れて膨らんだ革の水筒のように硬くなっていた。

 容量の限界を迎えた水筒なら、徐々に水を溢れさせながら弾けるように壊れるだろう。

 私の体も、恐らくこの巨大な胸をパンパンにするほどに蓄積されてしまった魔力を放出しなければ、水を常に注がれる水筒と同じように弾けてしまうのだろう。

 それを防ぐためには…こうするしかなかった。


 葡萄色の髪を手に持っていた布で括って服を捲り、勝手に魔力が漏れ出てこないようにと特別に誂えた魔導拘束具ブラジャーの背面のベルトを手早く外して乳房を露わにする。

 周りに人はいない。いたとしても命の危機の前に恥じらいなどは感じていられない。


 露わになった乳房の二つの頂点からは世にも美しく悍ましい破壊色…真っ青な光の筋がシャワーのように漏れ出し始めている。


 落ち着くんだ。このままではまた以前のように乳首から出ためちゃくちゃな複数の光線で街全体を更地にしてしまう…。

 母乳が溢れ出るように私の体から出る死の破壊光線…それは初めての暴走の時以外でも度々悲劇を生んだ忌々しい能力だった。


 乳腺から絶え間なく生み出される魔力…それによって膨らむ乳房…それによって私の胸部は身体年齢の8歳とはそぐわない成長を遂げてしまっていたのだ。

 魔導拘束具ブラジャーのランクも今では最高の大きさと拘束力を示すYカップとなってしまった。

 魔導拘束具ブラジャーは、時折発生する私のように何らかの形で魔力を無限に生み出してしまう人型の個体の暴走を防ぐために、旧世界の遺物を参考にして作られたものらしく、「カップ」という単位も過去の遺物に倣っているとのことなのだが、生憎専門家ではない私には詳しいことはわからない。

 Iカップ以上ともなると、前代未聞の強大な魔力らしく、その力が暴走し、放出された時の破壊力は計り知れないと言われている。


 想像することすら恐ろしいその力の全解放をしてしまう前に、街のひとつでも犠牲にして構わないからとにかく魔力を発散させろ…簡単に言ってくれるが…。


 深呼吸をして意識を集中する。

 今にも射出されそうな乳首から漏れ出る破壊の光を導くように私は腕を前に出し、手で三角形のような形を作る。


「お願い!真っすぐ飛んで!私のチクビィィィィム!」


 私の乳房の頂点から複数飛び出した死の光たちは、私の思惑通り束になるようにゆっくり絡み合うと、私の手で作った三角形からまっすぐに街の中心に聳え立っている巨大な時計塔の真ん中に穴をあけ、遠くに見える岩山の壁面を抉っていく。

 うまくいった…それなら…。


 再び意識を集中させて、乳房から発射された光線を誘導するように私は両腕を高く空へと掲げた。

 すると、勢いを衰えさせることなくどこまででも飛んでいきそうな破壊の光の束は急に方向転換をして星々が瞬く空へと吸い込まれるように消えていった。


 ふう…と腕で額にびっしり浮かんでいた汗をぬぐって、魔導拘束具のベルトをきっちりと締めて、捲った服を元に戻す。

 月が巡るまでの間でもう三回も暴発をしそうになっている。

 街を破壊するたび家族で遠くに引っ越すのはもう疲れてしまった。

 早くもう一段階上の魔導拘束具ブラジャーを作ってもらわないといけないが…それとは別に魔力を常に消費するような何かを考えないと私の身が危ないな。


「街のみなさーん!ごめんなさい!もう大丈夫です!お騒がせしました」


 声の拡声魔法を使って避難していた街の人々を呼び戻した私は王立魔法学園に使いの梟を飛ばした。


『前略 由緒正しき王立魔法学園の先生方へ


 私、ウーデル・ラーブルムはいよいよ魔力の暴走の頻度が増してきてしまいました。

 どうか可哀想な私をお救いになりたいのなら家族もろとも命を絶ってしまったり、疲れ果てたお母様が私を見世物小屋に売り飛ばす前に私を学園に引き取ってはくれないかしら?』

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