夏の主張

@sunamaru

第1話

もう今後、夏を好きになることはないだろう。

夏は主張が激しいからだ。

日照りや暑さ、蝉の声に祭囃子。テレビのニュースにCMなど、夏にあるもの全てが「夏が来た」と嫌でも僕に確認させ、夏の思い出を想起させる。去年までの夏を。


そして、一人で聞く蝉の声や、無縁と鳴った外の暑さ。どこか遠くから聞こえてくる祭囃子、その夏の一つ一つが、もう彼女との夏が来ないことをありありと見せつける。


夏は主張が激しい。きっともう夏を好きになれない。もう彼女は戻らないのだから。

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