源三郎江戸日記(弟四部)81 そなた達は半農藩士だ、上士どもは稼ぐ方法を知らぬので、没落していくのじあ、そなた達は商いをするのは、面子は汚れないであろう、金が出来たら城下で商売をやる


源三郎江戸日記(弟四部)81


そなた達は半農藩士だ、上士どもは稼ぐ方法を知らぬので、没落していくのじあ、そなた達は商いをするのは、面子は汚れないであろう、金が出来たら城下で商売をやるのじあ、質屋、

古着屋、等をやり儲けた金で金貸しをやれば良い、上士は金を借りるのにそなたに頭を下げるしかない、さすれば長年の恨みも晴らせるじあろうというと、なる程金でひざまずかせる、

ので御座るかと言うので、


そのために工夫しろと言うておる、不満を言っても、立場は変わらぬのじあよ、変えるのは金だけじあと言ったのです、よく、わかりました一両具足に、これから新しい戦を教えます、

そして上士をひざまずかせますと平伏したのです、玄海屋に言うて船を回航してもらおう、操船を教えるので船頭以下船子20人を選んでおくのじあよ、さつそくに飛脚便で知らせて、

回航させるぞと言ったのです、


何から何まで申し訳御座らぬと言うので、これでわしの役目は終わった、後は源内殿にお任せ申すと言って、村を出て城下に戻り居酒屋に入り、家老を呼び総てを源内が承知しました、

と言うと、そうですか、これで目の前の霧が晴れ申した、老体にムチを打ち頑張りますと言うと、帰っていったのです、仁蔵達船子も呼んで祝杯を上げたのです、山形が阿波屋の金が、

さっそく約に立ちましたなと言うので、


伊衛門がまさに悪銭が良銭に変わったのですな、それがしも武士ですが、武士とは情けない者に、御座いますなと酒を飲み干したので、石高の高いものが、治世をやっている限りは、

分からない事なのですよと言ったのです、さて次は伊予宇和島の伊達藩じあが、支藩が吉田藩の伊達宗純じあ、この者が元禄時代に勅使饗応に過分な接待をして、浅野殿を刃傷に追い、

やったのだよ、


それは宇和島伊達藩の支藩から独立して国持大名格にして貰う為にやった事じあが、結局幕府から認められず今でも準大名格の家柄として本家の干渉をうけており、揉め事が絶えない、

そうで、両藩とも財政は逼迫しているとの事じあがと言うと、おみながなぜ仲良く出来ないのですかと聞くので、過去の恨みじあよ、先代の時に跡継ぎで騒動があり、結局宗純が3万、

石で分家する事になったのじあが、


本家から禄高の高い家臣を沢山押し付けられて最初から藩は大変な状態になり、ことごとく禄を半減したのじあよ、これにより、吉田藩の家臣は本家に相当な恨みをもっていると言う、

事で、ことさら独立したいわけじあなと言うと、そんな事も殿が調停なさるのですかと聞くので、わしの妻女であったお峰の父親、赤穂藩士の奥田孫太夫殿は討ち入りをして切腹した、

経緯がある、


それの引き金になった伊予吉田藩じあから手助けしたくはないが、そこに済んでいる民には何の関係もない事じあからのうと言ったのです、ともかくまずは吉田藩から行ってみるしか、

ないじあろうと言ったのです、翌日は船に乗り伊予吉田藩領の港に停泊して、威嚇に大砲を撃つぞと言って仁蔵に準備させて11発の大砲を撃つと、幕府の軍船がいきなり大砲を撃った、

ので、


城下は幕府が攻めてきたとして大騒ぎになったのです、暫く待って上陸するぞ、戦支度で迎えるかどうかじあなと言うと、伊衛門が何を試されるのですかと聞くので、山形が殿の恨み、

ですよと笑うので、なる程少しは脅かしておくのでござるかと言うので、本家と仲間われしている場合ではないわ、この知らせは宇和島にも届くじあろう、本家が吉田藩を助けようと、

するか見ものじあよと言うと、


おみながそれでいさかいが無くなるのですかと聞くので、内輪揉めしている場合ではないと両家の藩主が気ずけば良いがなと笑ったのです、一時程して戦支度をした小船が白旗を掲げ、

て来たので軍使が来たな中々早いではないかと、船に引き上げると、吉田藩、町奉行村田新兵衛にござります、いきなり大砲を撃ちかけるとは我が藩を攻められるおつもりかと聞くの、

で今のは礼砲じあ、


幕府は鎖国しておるが、この地は南蛮船が京に侵攻する場合の入り口じあ、この沖を通り瀬戸内海に入り大阪に上陸するじあろう、南蛮船が友好をもとめるなら、11発もしくは17発の、

礼砲を撃つはずじあ、本来は同じ数の礼砲で返すのが儀礼じあが、吉田藩は大砲は持っていないじあろう、代わりにその数の鉄砲を撃てば良いのじあよと言うと、そうで御座りますか、

と言うので、


1時にて戦支度が出来るとは中々で御座ると言うと、恐れいりますと言うので、本家のいざこざはまだ続いておるのかと聞くと、色々と内政に干渉してくるので仕方ないのですと言うの、

で、宇和島藩は3万石少なくなり面子が失われたと思うているのじあろう、その後検地をやりなおして石高を10万石と幕府に届けている、おそらく、荒地も含めていいかげんな検地を、

やり、


面目をほどこそうとしたのじあろう、それが為に10万石なのに実収は7万石にも満たない、しかし、10万石の格式をやらねばならずばかみたいな事じあな、それで、色々吉田藩から取り、

上げようとしているのじあろうというと、その通りですが、幕府に訴えれば治世不行き届きとしてお咎めをうけますので、泣き寝入りしているわけですと言ったのです、それでは領内、

の巡察をするぞ、


案内は必要ないと言うと、承知しましたご自由に巡察してくだされと言って帰っていき、岸壁から11発の鉄砲を撃つて答礼したのです、しつかりした家老がいるのじあろう、それでは、

上陸するぞと言って、小船で岸壁に向かい上陸したのです、吉田藩兵が戦支度で整列して向えたので、ご苦労であると会釈して城下に行き旅籠に草鞋を脱いだのです、町は避難しょう、

とした者達が、


戦ではないとわかり家に戻り、荷物を降ろしていたのです、女将がお茶を出して、驚きましたよ、ヤツパリ幕府が攻めて来たのだと思いましたと言うので、そんな噂があったのかと聞く、

と、本家といざこざを起していますので、改易になり城受取りの軍勢がくるのではないかとの、もっぱらの噂だったのですと言うので、どんないざこざだと聞くと、国境がはっきり、

していないと事で、


その近隣の村は本家、吉田藩の両藩から年貢を払えといわれているそうで、どちらかはっきりして欲しいと代官に言っているそうですが、代官同士が譲らず怪我人が出る始末だそうです、

それで藩士は交代で戦支度しているそうですと言うので、それで早かったのかと笑うと、何がですかと聞くので、いや、こっちの話じあと言って、泊まり客はと聞くと、避難なさりまし、

たが徐々に戻ってきていなさりますと言ったのです、


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