本格推理を謳っている通り、網目のように張り巡らされた伏線から、ラストでは一本の線が浮かび上がる。その瞬間の快感は、ミステリファンとしてたまらないものでした。異世界で起きた殺人事件を推理するという変わり種ですが、むしろこの設定でなければ有り得ない。ただなんとなく異世界と組み合わせたのではなく、ちゃんと意味があります。すべてにおいてよく考えられた本作、「読者への挑戦」が設けられていますから、我こそは名探偵という方は是非推理に挑んで下さい。その優秀な頭脳を、必ずや満足させてくれるはずです。