田舎の暗器屋さん
ナキナキ
暗器屋さんのお仕事[1]
「いらっしゃいませー。ご注文はいかがしますかー?」
都会か田舎かと聞かれると誰がどう見ても田舎と言われる山に囲まれている場所に構えている店。『中根商店』
その見た目は最近消えつつある一軒家の昔ながらの駄菓子屋スタイル。
しかし、ここで売っているものは…
「えーと、『ドラグノフ』ってありますか?」
スーツを身にまとったサラリーマン風の20代後半辺りの男性が颯爽と店のドアを開き入ってきて言った。
「あ、はい。ありますけど。どのようなご利用で?」
店主である自分がそうサラリーマン風の男性に聞くと男性は当たり前かのように目を見開き言った。
「復讐です。」
「そうですか。では、レンタルとご購入のどちらになさいますか?」
「えーと、レンタルで。」
「はい、わかりました。試し撃ちのサービスありますがされていきますか?」
今の日本ではあり得ないような会話が事務的に淡々とされていく。
「では返却は一週間後の25日ですので。」
「はい。ところで、横のお嬢さんは新しい店員さんですか?」
先程からの店主とサラリーマンのやり取りを見ていた少女が姿勢を正して答えた。
「はい。昨日からここで働かせていただいている佐々木です。」
佐々木と答えた少女は整った顔の笑顔と腰まで伸ばしたきれいなストレートの黒髪が印象的な少女だ。
「そうですか。頑張って下さい。」
サラリーマンは柔らかく微笑みながら答えた。
「では、有意義な復讐を。ありがとうございましたー。」
自分の3分の2程の長さの黒いケースから伸びている紐を肩に掛け、サラリーマン風の男性は満足そうに店を出ていった。
少し経った後に男性の接客をしていた店主らしき清潔感のある黒髪の20歳くらいの大人びた雰囲気の好青年が佐々木に声を掛けた。
「佐々ちゃん、あの人は多分復讐目的ではないよ。」
「え?あの人は復讐って言っていましたよね?」
「まだまだだねー、佐々ちゃんは。あの人は前にも来たことがあったんだけど。嘘をつくときに目を見開くんだよ。」
「そうなんですか…では何のためなんですかね?」
「それは殺しが楽しくなっちゃったんだろうね。」
「そうですか?私は狩りの為なんじゃないでしょうかねえ?」
佐々木が得意げに言った。それを聞いた店主は興味深そうに聞いた
「何の狩りだい?」
「人間、ですかね?」
「なんだいそれ、僕と同じ意見じゃないか。ハハハハハハ。」
「そうでしたね。うふふふふ。」
2人は楽しそうに笑った。それはそれは楽しそう
「何がおもしろいんですかぁ!!ヤバイですよ!この店は復讐専用の武器屋でしょう!?」
「いきなりなんだい?傘君。いい病院教えようか?」
「そうですよ。何ですか傘喰さんいきなり叫んで。私もいい病院教えましょうか?」
いきなり叫んだ、傘喰と呼ばれた高校生ぐらいの少し茶色がかった黒髪の青年は一般的な人間の意見を放った。
「病院に行くのはあんたらだっ!ただの人殺しに武器を貸したらダメって店主が言っていましたよね!?」
「つい、ね?」
「つい、ね?じゃねーんですよっ!ホントにどうすんですか?罪の無い人間が死ぬんですよ!?」
「ふふん、まあ、こんな事が起きるかと思ってドローンを飛ばしているんだよ。」
と、自慢げにタブレット端末を取り出した。
「そういうふうに『こんなときの為に…』とか言って出すのやめてください。すごい怖いんですよ!」
「店主~それやってみたいです!」
「いいよ。じゃあ傘君、ドローンの存在を知らなかった状況からやるよ。」
「えぇー。」
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