第30話
翌日俺たちはそろって教会へ出向いた。シャミセンはどうしようかと思っていたんだが俺が起きた時点ですでに部屋にはいなかった。大方ルソーにでも会いに行ったんだろう。さて式場について早々ハルヒは奥の部屋へと入っていき俺はタキシードにぱぱっと着替えた。
「まさかこのような形で籍を入れることになるとは。流石涼宮さんですね」
何が流石なのか懇切丁寧かつ分かりやすく教えていただきたいね。
「おや?涼宮さんのウェディングドレス姿を見たいとは思わないのですか?あなたもまんざらでもない顔ですが」
俺は顔をごしごしと擦った。どんな面してるのやら。
「待たせたわね!」
と協会の扉をバァンと開いてハルヒが登場…すると思いきや、ウェディングドレス姿のハルヒは静々と黙って部屋に入ってきた。黙ったままじぃっとしている。
なんだろう、なんでこんなに落ち着かないんだ。ハルヒのやつ、黙っていればなまじ器量よしだから始末に悪い。落ち着け、こんな時は素数を数えるんだ。1・2・3・5・7…あれ、1って素数だっけ?余計落ち着かなくなってきた。
「なあハルヒ。この式ってどこまでやるつもりだ」
「キョンはどこまでしたい?」
俺はいよいよ平静を失いつつあった。ハルヒは何を言おうとしている?主導権を俺に任せるというのか?上目遣い気味だったハルヒがぷっと噴き出した。
「ぷぷ、何よキョン、あんた顔真っ赤にして、本気にしすぎ」
もうちょっと我慢しようかと思ったけど、あんたがマジすぎてダメだったわとハルヒは顔を真っ赤にして笑い転げていた。お前、本当にお前、お前本当にそういうとこだぞ。
「ほらさっさと終わらせるわよ。次はちゃんとしてよね」
はあ、やれやれだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます