第31話

 ハルヒと朝比奈さんはまた別室でパーティー用のドレスに着替えている間、古泉が何か言いたげに生暖かい目をしていたが無視した。


 そんなこんなで俺たちは6時ちょうどにパーティー会場に到着した。パーティー会場は地下にあり、入ってすぐ俺たちは驚いた。中央にひときわ大きなシャンデリアが吊るされており、その周りを一回り小さいシャンデリアが所狭しと会場内を照らしていた。そして落ち着いた音楽が流れていて、床には高級そうな絨毯、スタッフもキビキビ動いておりこのパーティーが格式高いことを知らしめていた。


「あれ、園生ねえさん?何してるのこんな所で」


 スタッフの一人と話していたのはスーツ姿の森さんだった。


「あら、ハルヒこそ。珍しいですね、あなたが社交パーティーに来るなんて」


「あたしだって来たくなかったわよ。でもルパンに呼び出されたのよ」


 森さんはとたんに険しい顔をした。


「警察にはちゃんと連絡しているのでしょうね」


「・・・」


「そんな事だろうと思いました。私が連絡しておきますから大人しくしてなさい」


 そう言うと森さんは会場を出ていった。


「ねえさんが動いてるってことはこのパーティーは大英帝国が出資しているのかしら」


 森さんってそんな立場だったのかよ。


『それでは皆様方、静粛にお願いいたします』


 会場内に森さんによるアナウンスが響き渡った。


『本日は当パーティーにお越しいただき誠にありがとうございます。これより主催者によるスピーチを行います』


 そういうとシューと大量の煙がステージの上から出てきた。ドライアイスだか何だか知らんがずいぶんと凝った登場をするなぁ。煙が晴れた時ステージの上には小柄な人物がぽつんと立っていた。


 シルクハットと燕尾服を身にまとい、ご丁寧にモノクルまで装着している。会場全体がざわめく中、頭の中に直接響くようなかんじの声が響いた。


「このパーティーの特別ゲストを紹介する。名探偵涼宮ハルヒ、前へ」


「言われた通り来たやったわよ!!!あたしに喧嘩売ったことを存分に後悔させてやるわ!!!」


 おいハルヒ、あまり挑発に乗るんじゃ…。ハルヒが駆け出したと同時にルパン(長門)は銃を構え、天井めがけて数発発砲した。その時俺は長門の狙いが何故かすぐに分かった。長門は天井に吊るされているシャンデリアを狙っていた!待てハルヒ!


 俺は走り出したハルヒの肩を掴みあらん限りの力で古泉達の方へ投げ飛ばした。予想通り、古泉はしっかりとハルヒを受け止めてくれた。


「ちょ、キョン!!なにすんのよ」


ガッシャーーーーーーーーン


 中央に吊ってあったシャンデリアが俺の肩をかすめて砕け散った。ハルヒは口をパクパクしている。俺は長門の方を見ると、次々に天井へ向けて発砲していた。会場内に悲鳴が響き渡ったが、幸いなことに他のシャンデリアの真下には料理が並べられており、誰一人下敷きになる人はいなかった。


「ハルヒ大丈夫?!」


 森さんが飛んできていた。そして長門の方を睨みつけ、捕まえましょうと俺たちに言った。ハルヒは俺に何か言おうとしていたが、長門のもとへ走りだした。俺、朝比奈さん、森さん、古泉がその後を追い、長門はステージから飛び降りて部屋から走り去った。

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