第19話

 俺は妹を見送った後新聞を片手に急いで階段を昇った。が、部屋に入って早々ハルヒに奪われてしまった。マンガを買った日にガキ大将にあったの○太君の気分だぜ。 ハルヒは一面とその裏の二三面だけ見てポイっと俺に放ってきた。もういいのかよ。


「今日は気分が乗らないの。あの怪盗についても進展ないみたいだしね。今日は休業日にするから入口の看板を『休業』にしておいて」


 コンコン


 まさにバッドタイミングの訪問客。ハルヒは玄関をじろっと見てアヒル口を作った。


 コンコン


「どうぞー」


 いうが早いかバンと扉が開いた。


「君が名探偵と名高い涼宮ハルヒかいっ!噂はよっく聞いてるよ~!!!」


 玄関に翡翠色の髪をファサッとかきあげる美女が立っていた。


「だれよあんた、まずは名乗るのが礼儀じゃないの」


 ハルヒがニコリともせず返答する。


「おっと、これは失礼。ルパン専任捜査官をやっているツルヤ・ガニマール、人呼んで鶴屋さんさっ!!!」


 ハルヒは相変わらず腕を組んだままだが、俺はとても嬉しかった。なにせあの鶴屋さんだ。俺達をわざわざ訪ねてくれるとは。何か長門のことを知っているかもしれない。というか、鶴屋さんのポジションが分からん。ルパン三世の銭形のとっつぁんみたいな感じなのだろうか。俺は怪盗ルパンシリーズは読んだことがない。これを読んでいたのはたしか…。


「で?その鶴屋さんが何の用?悪いけど今日は休業日なのよね」


 謝る気ゼロでハルヒが言った。


「そんなこと言われるとめがっさ悲しいかなー。単刀直入に言うと、ルパンからの手紙を見せてほしいんだっ!」


 なんと、ハルヒが予告状もらってたのか。しかしハルヒはかぶりを振った。


「それが用件?なら帰って。これはあたしが受けた挑戦なの。他の奴の助力なんかいらないわ」


 ハルヒが頼みをバッサリ切り捨てると鶴屋さんの眉がぴくっと動いた。


「ほっほ~う、大した自信さねっ!じゃあ切り口を変えるよ!情報交換をしよう」


「『ルパン』と『切り裂きジャック』の関係ならあたしでも気づいてるわよ」


 ルパンと誰だって?ハルヒ、二人目の依頼人をよく思い出そうぜ。俺の中ではほぼ確信に近い心当たりがあるんだが。


「ほほ~流石さね!まあたしの話を聞いとくれ!その後気が向いたら予告状を見せてくれればいいっさ」


「…まあいいわ。どうせ帰る気なんてないんでしょ。その代わり、あたしが手紙を見せるとは限らないわよ」


 鶴屋さんはそれでじゅうぶんさっと言い、咳払いをしてから話し始めた。

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