第18話
ダンダンダンダンダンチャッダダダダダチャッダンダンダンダンダン
「おあああ!!!!!」
俺は情けない悲鳴をあげながら盛大にベッドから落ちた。 顔を上げると銃を構えるハルヒの横顔が見え、壁には「SOS」と銃弾による文字が書かれていた。 隣の部屋でもゴンという音が聞こえたってことは古泉も俺と同じようにベッドから落ちたんだろう。これは怒ってもいいよな?冗談のレベルじゃねえもんな? と思っているとハルヒの顔に見たこともない表情が張り付いている事に気が付いた。それは不安と、なんだろう苛立ちか。
「朝っぱらから何やってるんだお前は」
「やっと起きたのね。もう朝よ」
あれで起きなかったらきっと永眠してるんだろうぜ。 あやうくそうなりかけたが。
「のんきな奴ね。あたしは来るべき時に備えて予行演習よ」
そう言うのは人気のないところで頼む。それから、何が来るべきなんだ?
「そう言えばあんたは見てなかったわね、あの手紙」
ああ、なるほど。あの手紙が原因なわけか。などと話していると、ものすごい顔をした古泉が部屋に入ってきた。
「おはようございます」
「おはよっ古泉君。どうしたの?そんなんじゃ男前が台無しよ」
そんなに酷いですか、と古泉は言っているが、たしかに生半可なもんじゃなかった。隈がすごいことになってるし少しふらついている。そう言えばお前、昨日いつ帰ってきたんだよ。
「昨日というよりさっきという方が適切でしょうね」
お前はいつのモーレツ社員だ。せっかくリミッタ―サイキッカーを免除されてめいっぱい眠れるってのに。
顔を洗ってきます、と古泉が出ていった後、外から威勢のいい子供の声が聞こえてきた。
「大変大変だよー!怪盗ルパンがまた予告状を出したよー!!!」
この世界観的に、ルパンっつったらあの三世じゃないほうのルパンだよな?何でそんな奴出てくるんだよ。とりあえずハルヒ、新聞買ってくる。
「あ、新聞買っても読めないか」
でも俺が書いた原稿は日本語だったよな。ひょっとして日本語に変わってるかもしれない、などとご都合主義的なことを考えながら俺はアパートの階段を下りて新聞を売っている小さな子供に声をかけた。
「はいどうぞ、お兄ちゃん」
振り向いたそいつを見て俺は声が出せなかった。
「ありがとうお兄ちゃん」
と言い代金をもらったその子は走り去っていった。俺はたしかにまたお兄ちゃんと呼ばれたいとボヤいたこともあったがこれはさすがにないだろう。 俺は走り去る自分の妹を呆然と見送った。
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