人類をかけて一日一善はじめます。

漠せいさい

プロローグ


『世界中の人々が一日一善をすればきっと世界は素敵になる』



 ——俺がまだ世界も、物事だって何も知らなかった時に見た映画。その劇中の少年が言ったセリフは、今でも鮮明に覚えている。

 その少年が最後どうなったか、どんな内容かも覚えていない。だけど幼い俺の人生は、この日を境にして大きく変わった。

 世界を変える。変えたい、と幼い俺は思ったのだろう、まず手始めにと、すれ違うたび色んな人に挨拶をしまくったのは、今思い出してもかなり痛い記憶である。


でも、これで世界が変わると本気で信じていたし、今もそうだと信じたいのだ。

そして現在、俺のモットーである、一日一善は大学のサークル活動に場所を移し、日々穏やかに過ごしていた——


 そう、あの日までは。

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