第10話 夏祭り

 ユウタからの『LINE』を受け取った僕は、サツキと一緒にユウタが待つ一本杉へと向かった。その途中、僕はサツキが自分の事をどう思っているのか、とても気になったのだ。


 そして、こんな言葉を僕はサツキに投げ掛けた。

「サツキ… 金魚すくいの屋台で、おじさんに言った言葉、覚えてるか?」


 こう僕がサツキに向かって言うと、サツキは何の躊躇ためらいもなく、こう答えたのだ。

「ええぇ…」


 すると僕は、おそるおそるこう切り出した。

「ええぇ、て… それは幼馴染おさななじみって事かなぁ? それとも、ひとりの男性としてデートしてるって意味かなぁ?」


 こんな言葉が僕の口から出て来たのだ。自分でも不思議なくらい、この言葉がすんなり出て来た。


 するとその言葉を聴いたサツキは少しあいだを置いて、こう答えたのだ。

「ハヤトくん 幼馴染おさななじみなんだから、わたしの気持ち、わかるでしょ…」


 サツキは僕に向かって、こう言った。この時の僕の気持ちは複雑だった。それはサツキに対する自分の気持ちが、自分でもハッキリとはわからなかったからだ。


 しかしサツキと一緒に居ると昔の頃のように、素直に自分を出せるのは間違いない。こうして二人は、一本杉がある八代やしろ神社の階段を登って行ったのであった。


つづく…

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