おじいちゃんの膝
寿和
第1話
「ああ、いたたたた…」私の大好きなおじいちゃんは、また膝をさすっている。「だめだなあ、最近は骨が弱くなって、膝が痛くてかなわんなあ。」毎日こんなことを言っては、ぎこぎこした動きでお気に入りの縁側を出たり入ったりしている。かわいそうなおじいちゃん。あ、骨と言えば、昨日、友達のあやかが面白いこと言ってたな。「知ってる?骨ってね、自分の細胞で壊されてるんだよ。」ホントにびっくりした。自分の細胞で骨が壊されてるなんて。「それで、壊れた所に新しくまた骨が作られてるんだって。一回私も腕の骨折った事あるけど、折れたところ骨が超強くなったもん。」あやかが自慢げに右腕を見せてきた。「ええ、それ関係あるの?」「それよりムダ毛剃りなよ~」その場にいた何人かの友達が、それぞれに言いたい事を言い笑いが起こった。…骨って、壊して造り変えるのか…。私は縁側で昼寝をしているおじいちゃんを見た。大の字にひっくり返って、時折、があ、といびきをかいている。「そっか。」私はそっと部屋を出た。大好きなおじいちゃん。いつも、お父さんもお母さんもお仕事で居なかった。おじいちゃんと一緒、いつも、いつも一緒。おじいちゃん、大好き。すぐに善くなるからね。私は部屋に戻ると、大きく振りかぶり、おじいちゃんの膝目掛けてハンマーを振り下ろした。
おじいちゃんの膝 寿和 @nene091
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