第3話訓練

 

「おい、起きろ。もう朝だ」



「後、30分…むにゃむにゃ」



「起きろ!」



「は、はい!な、なんでしょうか!?」


 俺はいきなり叫びだす騎士に驚き、慌てて起き上がる


「朝食の時間だ、それを食え。食べ終わったら今日から訓練だ、覚悟しておくといい」


「えっ?朝食ってパンと水だけ?」


 いやまぁ大体分かってたけどね、朝食は。



「わがままを言うな。兎に角食べ終わったら訓練所に来い。そこに集合だ」


「分かりました。訓練所に行けばいいんですね、了解です」



「ああ、遅れたりなどするなよ、殺してしまうかも知らんからな、フフフ」




 フフフじゃねぇよ、普通に怖いわ!

 後、あんたがフフフって言うと結構キモイから止めとけ。普通に笑え普通に。


「貴様…今…『いえ、何も考えていませんよ?』何か考え…ん?俺はまだ何も言っていないが、まぁいいだろう。とりあえず遅れるなよ」



「はい」

 


 どう?すごい?テンプレ通りにはいかせなかったよ?言う前に答えってやった。ざまぁ


しかし、やっぱりこの世界にもエスパーがいるんかね?怖い怖い。



「やっぱ異世界のパンって美味しくないんだな、身にしみて分かったよ。

 よし、行きますか」



 ちょっと硬くて美味しくないパンを平らげてから水を全部飲み、訓練所に行くことにする。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺は何故か迷わず訓練所に行くことが出来た。

 そして、どうやら俺が最後だったらしい。


 一応謝っておこう。


「すいません、遅れてしまいました」


『クスクス』


「いえいえ、大丈夫ですよ。ではこれから、皆様を鍛えるべく、訓練を始めましょう」




 俺の登場にクラスの奴がクスクスと笑いだす。そして俺の登場を優しく大丈夫だと言ってくれるリリーさん。

 お前ら見慣れ、そして、リリーさんの優しさを学べ。



「では、まず皆様には訓練をする前に前衛と後衛に分かれて頂きます。

 前衛はつまり、敵に突っ込んで戦うことです。

 そして後衛は、主に魔法や支援、回復といった役割を果たすのが後衛です。


 ですので、皆様。前衛の方ならあちらの騎士団長の方に、後衛の方はこちらに。では勇者の皆様分かれてください」




 リリーさんに言われそれぞれ自分が前衛か後衛かに分かれて行くクラスメイト。


 うん。予想はしてたから大丈夫。


「あ、あの~『貴様はこっちだ』えっ?」



 リリーさんに俺はどうすればいいか聞こうとしたが、それを遮り、声をかけてきた騎士。


「貴様はこっちで訓練だ。着いてこい」

 

「えっ?あっちょっと」


 俺はなすがままに騎士の後ろを着いて行く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「この辺でいいな。おい、とりあえずこの木刀を貸す、これで訓練しろ」


「えっどうゆうことですか?それ?」


「少し待っていろ」



 と、いってどこかに行く騎士。


 

 「よし、待たせたな。今からこいつらと模擬戦をしてもらう、お前はこれからこいつらの体のどこでもいい、とりあえず当てろ。それがルールだ」



 どこかに行った騎士が戻って来たと思ったら、後ろに他の3人の騎士の姿が見える。

 え?どゆこと?模擬戦?いきなり?俺、何の力も持ってないのに模擬戦って頭おかしいのか?

 下手なことしたら死ぬぞ俺?


「いきなり何を言ってるんですか?模擬戦?ちょっと待ってくださいよ。俺何の力もないのにいきなり模擬戦とか無理あるでしょ。

 下手したら死にますよ」


「それなら大丈夫だ、こいつらは回復魔法が使える。身体の傷もろとも消えるから安心しろ」



 いやいや安心できねぇーから。


 ちょっとこれは不味いな。流石にこれは予想してなかった。


「では訓練が終わるまで俺はあちらの勇者を見てくるから、頑張るんだぞ」


『はっ!』


 騎士はそういって前衛で戦う勇者の訓練を見に行った。



「おい、お前、始めるぞ」


「始めるって何を?」


「そんなこと…決まっている」


「グフ!」



 俺はいきなり腹の部分を殴られた。ガントレットのような物で。しかし、俺は多少痛みには慣れているため、本来ならめちゃくちゃ痛いであるはずの痛みはさほど痛くはなかった。そして、いきなり殴って来た騎士Aが、


「おいおい、余所見してたらダメだろ。じゃないと怪我する…ぞ!」


「ガハッ!」


 俺は来ると分かっていても速すぎて見えない速度に着いて行けずなすがままにやられる。今度は顔面にクリーンヒットした。

 そして思わず膝を着く。


 幸い、どこも折れてはいないらしい。だが超痛い。


 そして、しばらく俺は騎士に殴られ蹴りを、繰り返される。動けなくなるたびに回復魔法で回復。あっという間に傷がなくなる。


 そして再び始まる一方的な暴力。



 おいおい…こんなのどうしろって言うんだよ、無理だろいくら何でも。



「おいおい、もう終わりか?早すぎるだろ、まだ立てんだろ?早く立てよ、どうせ回復してやるんだしさ」


「はっ調子乗んなよ。何で俺だけこんな仕打ちされなきゃならねーんだよ!無理やり召喚されてよ、ステータスは最弱。けど、ここから、俺Tueeee的な展開期待してたのによ!なんかしら強いスキルでると思ってたのによ!

 なんで俺だけいっつもこうなんだよ!理不尽過ぎんだゴファ」



 言い終わる前に顔面を殴られていた。


「さっきからうるせぇ、お前は黙って俺らのストレス発散道具になってりゃいいんだよ!お前はそういう運命なんだよ!だから早く立て!」



 俺は言い知れぬ恐怖から、ゆっくりと木刀を杖代わりにして立ち上がる。


 「じゃ、やるぞ。あっ、次お前な、ほら交代」


「やっとかよ、おせぇーよお前。俺、あいつの顔みてたらなんかイライラしてきたわ、隊長に日頃やられてるせいで、ストレス溜まりまくってたんだよな。発散さしてもらうぜ」



 俺は訓練が終わるまで何の抵抗も出来ずにただずっと殴られ続けた。

 死にそうになったら回復。


 しかも、少ししか回復さしてもらえず。傷は完全には癒えない。


 そして俺はそのまま、また何度も何度も何度も騎士達に殴られ続ける。


 もう俺は他の事を考えている余裕なのど、とっくになかった。

  ただひたすらに顔や体を守るためにガードをするが、それも無意味。


 そして、俺は気がついたら気絶していた。



「いっ!…たくないな、身体の傷も全部…ではないっぽいが、まぁ背中の所だし大丈夫だろそんくらい。だが…クソ!あんなものを毎日受け続けるのか?肉体的には大丈夫でも、精神が狂いそうになるな、どうする…」


 とりあえず…帰るか…



 俺は前衛と後衛で分かれて訓練してるクラスの奴らを見に行こうとしたけれど、もうすでに、辺りは暗く誰もいない状態だった。


「おいて…いかれたか…まぁ…当然っちゃ当然か…」



 はぁ…なんでこうなったんだろな。ただ俺は平和に生きたいだけなんだがな…


 とりあえず今の訓練をどうにかしないとな。


 魔法は…MPが少な過ぎるからダメだな。となると、接近戦がメインになるな。

 でも今のままじゃ絶対強くなれない。

とりあえず筋トレ、ランニング、毎日木刀1000回くらい素振りをやっていこうかな、


訓練は…サボる訳にはいかないな。


 そうと決まれば明日から決行だな。

 俺は、色々と計画しながら、自分の部屋へと戻る。




 「あっ、いいこと思いついた。異世界に来たらあれをやらないと」


 俺は思いついた事を実行するため、リリーさんに紙はざっと100枚程度と羽ペンを用意してもらった。

 


「そう…俺は今日から毎日日記を書くことにしたのだ!って誰に言ってんだ。

 この日記も明日から書こう」



 

 そして俺はいつの間にか置いてあった硬いパンを食べる。

「うん。やっぱり美味しくない。地球のパンが無性に食べたくなるな。

 はぁ…寝るか…」


 俺は夜食を済ませ寝床へ入っていく。


 「あっと、その前に紙にこうしてっとう。うん!いい心掛けだな」



 俺は明日から色々と自分を変えていくため、紙にこう書いた。












とりあえず今後の方針その1。




 まずは、この王宮で誰にも負けないくらいまで強くなる。

 




by新城 朋樹







こうして、俺は明日に備えるべく寝るのだった…

 






 









 













 












 



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