2話 彼女の秘密
彼女はこう答えてくれた。
どうやら、彼女には休む理由として深いわけがあるみたいだ。彼女は数年前、両親を事故で亡くしたという。それから、実の兄弟である大学生のお兄さんと一緒に暮らしていたそうだが、とある日お兄さんと喧嘩をしてしまい、彼女の方から家出をしたという。それから彼女には家が無かったため、わけを話して、しばらくは学校の友達の家などに泊まっていたらしい。それでも、だんだんと泊まれる所も少なくなり、ついには学校にも行けなくなってしまった。つまり今、彼女は外で寝泊まりしているということだった。彼女はホームレスだったのだ。
彼女は運がついているのか、近くには無料で利用ができる温泉施設があった。お風呂などはそこを利用しているという。
俺は彼女の名前を聞いた。
すると、彼女は自分の名前を口に出した。
「井川奈々」
俺は…心の中で思った。
「奈々ちゃんか。…可愛い名前だな」
そして、俺が1番気になったのは奈々がどこでね寝ているのかだった。奈々は中学生。それなりに野外で寝泊まりするのは危険があると思ったからであった。
奈々の話を聞いていると、寝泊まりしている場所も分かってきた。奈々は近くにある公園の24時間空いている施設みたいな所で寝泊まりをしているという。そこは、他のホームレスにとっても最高の施設だった。奈々はそのホームレスと一緒にそこで、寝ているということを教えてくれた。奈々の話を聞いていると、あっという間に時間が過ぎていた。
「あ!おれ、そろそろ学校に行かないと…」
すると彼女は
「そうだね、いってらしゃい」と笑顔で見送ってくれた。
学校に行くと、無論、先生に叱られた。しかし、叱られていても俺には奈々の事しか頭に浮かんでなかった。
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