第17話 告別の儀

冷たい粉雪がしんしんと降ってくる。


凍てつく波動のなかで、あの梅の花が香る春を待ちわびている。


降り止まない雨が残酷な運命の象徴であるように、


海は羊水の象徴だ。


けっ。


隠蔽された男根主義者のブスフェミどもが。


女は男よりはるかに邪悪で賢い。


あの方は言った。


「信じなさい。私はあなたに悪いことはしない。表面的に破壊的なことが起きてもそれはあなたを癒すためである。」


ベンチに座ってた彼女を押し倒した。


犯した。


パンツは愛液でぐっしょりぬれていた。


彼女は泣きながらか細い声をあげた。


huru huru chandali matangi svaha


アウトカーストの女。


あの野生的で情熱的なまなざし。


現実の彼女は、知的障害の施設で働いてた。


執拗に連絡とろうとして彼女を傷つけてしまった。


あの永遠という「時」が貪り食った。


僕らの時間を。


悟りを妨げようとして現れた美しい羅刹の女たち。


淪落した罪深い愛。


地獄から出た後に広がってたのは、さらにおぞましい闇の世界であった。


「この地上」という。


普通の人が言う地獄や絶望とは、十分な自信が持てないことからくる。


しかし、真の闇は、自己同一性の喪失から来る。


普通の人の地獄は、自分とは何者か知らないことからくるのに対して、


真の苦悩は、自分とはどこから来たのか知らないことから来るといえる。


しかし、悟りとは闇なのだ。悟りとは悲哀だ。


あなたの知が真にこの世界と接し、真剣なものになったとき、夜明けは近い。


闇にとどまる力。


それは、胆力ある「雄」になるということである。


勝利あれ! 自分で自分を生み出したものに勝利あれ!


自信と、アイデンティティは、ペニスサイズとセックス回数の違いと似ている。


当然後者のほうが本質的である。


アイデンティティとは地に足をつけて、観念を通さず、直接的に知ってることからくる。


自信は自己満足的な色彩が強い。


自由があるから、より大いなる愛を抱ける。


初めに自由があるんだ。


om ah vi ra hum kham vajradhatu vam


私は、主ブラフマーに達した。


主よ!「女」よ!


俺は人生を楽しんでるよ!


まやかしの静止した「幸福」なんかじゃない。


楽しむ=他を対象化せず、他に対して共同社会感情を抱くこと。


観念だけ裁くことをやめ、闇の中に人の中に入っていくこと。


割れろ! 割れるんだ! 観念のガラスよ!


俺は、やっと本当に真人間になれそうなんだ。


常識人って意味じゃない。


リラックスしきって、自然と同化した、大いなる安らぎに帰した


自然人という意味でだ。


アダムのリンゴ。


雄性を持って生きるってこんな厳しかったのか。


でも、「生まれてきてよかった。」


そう前よりは思える。


闇のディストピアを横切ったから。


悔いはない。


夕日に輝くふるさとが見える!




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