第15話 渇愛

会いたい。


もう一度触れたい


そんな憧れににた渇望は


大海を行く小船のように


闇のなかを


心を切り裂きながら蛇行する。


紅蓮の夕日の赤が、俺の心を焼き尽くす。


一輪の愛の花の中が咲いた。あの紫色の稲妻に似た。


無の周りを旋回するすべての者たちよ。


vajradhatuvishvari


もうかっこつけるような余力もないし、馬鹿らしいと思う。


希望がすべて消えて、透明な絶望が、あそこに見える。


この短い、80年の人生を燃えるような激しさで生きたいと思った。


限りない喜びと苦しみをもって。


拒否のソナティネ


その音色は、別離と再会の重苦しいグラーヴェ。


たくさん、悔恨に似た、憧れを抱いた。


引き絞られた意志の弓。


いつの日か、人は、人生に対してチャレンジャーだったころを忘れちまって、


チンポコもたたなくなっていって


社会に去勢された牛みたいになる。


俺は、ブラフマー神に到達した。


私は創造者だ。


この上なく繊細な創造を行うもの。


エスよ。


情け容赦ない、苦しみを我は欲する。


5次元なる永劫回帰の闇よ。


恐るべき女神よ。


理想の優しい恋人の裏に隠されたあの残虐な女神。


真実の女性。


神は焼き尽くす火であることを知った。


圧倒的暴力を見た。


自分を守ることすらできなかった。


世界は美と意味にあふれていた。


自分には非現実な流行歌手の歌声。


苛め抜かれた人の一生は、時にその優しさが天国に届き、


暴漢の慰み者とされた女を癒すくらいにやさしいこともある。


死の女神よ。


君の口付けが究極の官能だ。


君と過ごした官能の日々を思うと、心がふる、えた。

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