解錠授業

「それじゃ、解錠魔法の授業を始めるわよ!」


リーナが教室に入ってくると、立ち歩いていた生徒が席に着く

時間割について話しが出来ないままに終わったが、ユウは時間の事が分かっただけで十分だった


「さ~て、まずは」


リーナが手を高く上げると


ズズズズズ


重い音がして、教室の四方に扉が現れた


「はい、皆自分のランクに分かれて」


リーナがそう言うと、生徒たちは自分のランクの扉の前に行く


「ライナ、僕のランクは?」

「私に聞いても分からないよ…先生に聞かないとね~

 まぁ、多分Dだと思うよ!私はCだからCに行くね!」

「(まぁ、Dだよね、何も分かってないんだから…)うん、頑張って~」

「ユウもCに来るんだからね!!」

「ぁ…そっか」


ライナに言われて、ハッと気づくユウ

呑気に『頑張って~』と応援している場合では無い

誰より頑張らなければいけないのは、自分自身である

そして、Dをクリアすれば、必然的にCに行く…いずれ自分も通る所だ


(…ひとまず先生のところに…)


ユウはリーナにランクを聞きに向かう


「先生、僕はどの扉に行けばいいの??」

「あぁ、そうだったわね。ユウはDの扉よ」

「はーい(やっぱりね~…僕一人なんだろうなぁ~)」


ユウはDの扉の前に立つ

予想通り、誰もいなくて一人だった


(…やっぱりね~)


当たり前の事だが、なんとなく凹む

扉に写っている自分の影をボーッと見て、授業が始まるのを待っていると、もう一つ影が


(先生か…あれ?先生の影にしては小さいし、髪が短い…?)


一瞬、リーナが来たと思ったが、影の髪が短いことに気づく

不審に思い、横を見る


「りゅ、リュウ君!?」

「何?何で俺を見て驚くの?あと、君とかいらないから」

「そう?じゃぁ…リュウってホウキの授業で

 ホウキ滅茶苦茶上手だったからDに来るのが予想外でさ…」

「はじめは誰でもDからに決まってるじゃん」

「そりゃね…ぇ?リュウはじめてなの?」

「そう言ってるでしょ…前回この授業出てないから、はじめてだよ」

「そうなんだ…」


2人が話していると、目の前の扉が開いた


「ほら、行くよ」

「あ、うん!」


リュウの差し出した手を握ると、扉の中に入っていく


トンッ


少しの浮遊感を感じてから、地面に足がつく


「リュウ、ココは…?」

「見ての通り、何も無い空間だ」


リュウの言うとおり、何もない空間だ

そう、さっき通ったはずの扉も何も…

リュウはユウの手を離すと、手をかざし杖を出す

ユウは、ただそれを見ていた


「何ボーッとしてんの?ユウも杖出しなよ」

「ぇ…あ、そうだよね」


魔法の授業なので杖が必要な事を思い出し、ユウはローブの内ポケットから杖を取り出す


「さ、まずは2人からね!」

「○$■&▲▽!?!?!」


ボンッという音と煙と共にリーナが現れ、油断していたユウは言葉にならない悲鳴をあげた


「あら、驚かせちゃったわね

 ごめんね~

 さて、チャッチャと本題入るわよ

 ココに2つの扉があるわ

 この扉を開けるとCの空間に行けるの

 それがココDの課題よ!もちろん手じゃ開けられないから、魔法を使うのよ」


ユウを見て言うリーナ

それに苦笑いしかできないユウ

リーナはそれだけ言うと、出てきた時と同じようにボンッと消えた


「ふ~ん、開け」


リュウがそう言って杖を扉に向けると、ギギギギと音をたてながら、扉が開いた


「わぁぁ!すごい!」


ユウが拍手をしていると、リュウは何も言わずユウの方を見る


「拍手してる場合じゃないでしょ、ユウも開けなよ」


リュウにそう言われた瞬間、カチンと固まるユウ


「か、簡単に言うけど、そんなすぐに出来ないよ」

「出来ないと思ったら、魔法は使えないよ

 魔法はイメージだからね…じゃ、俺は先に行くから」


リュウはそう言って、扉に入って行ってしまった

リュウが入ると、扉はスッと消えた

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