転生ギフトでドラゴンを貰いました。

第56話 報告と料理

　シロを説得後、部屋へと戻ってきた。

　リーシュちゃんは疲れたみたいで部屋へと戻っていった。

　結局いけなかったなあ。

　少し行ってみたい気持ちはあった。

「夕飯までどうしようかなあ」

「お昼はないのー？」

「たしかないよ。俺たちは早く来過ぎたんだ」

「えー！なんでー！！」

「ご飯抜きはやだー！」

　早く来たのには理由はもちろんある。

　まずはシロとペイルの掃除と片付けが終わるか心配だったから。

　だからクロも早く来たんだろう。シャルちゃんとネルちゃんを巻き添えにして。

「ほら、母さんじゃなくて俺が昨日のうちにつくった昼飯。食べていて」

「ジルの……」

「大丈夫なの？」

　失礼だな！

　たしかに一人暮らしの時は買って食べることが多かったけどさ。

　今は母さんに教わって、自炊できるようにしてある。

「ちょっと一口食べてみなって。けっこう自信あるよ？」

「「わかったー！」」

　二人はひょいとお肉をとり、口へと運んだ。

　って、肉をいきなり食べるのかよ。

　さすがドラゴンだな。

「「おいしいー！！」」

「だろー！これなら食えるだろ？」

　美味しそうに食べたと思ったらバクバクと昼飯を食べ始めた。

　こんな風に食べてくれるなんて……。

　すごくうれしいよ。

「食べるのはいいけど、その間俺は行くところがあるから」

「「気を付けてねー」」

　ご飯に夢中で返事が適当だなあ。

　まあ、夢中になっているうちにさっさと行くか。

　向かう先は校長室。

　報告をすることがあるためだ。

「失礼します」

「やあ、久しぶり」

　部屋のまん中にある机。

　机の上にはたくさんの書類が置いてある。

　その間にひょこっと顔が見えた。

「忙しそうですね」

「夏の間サボってしまってね」

「遊んでいたんですか？」

「この量をいきなり渡されたら誰でも嫌になるだろう？」

　その気持ちは分かる。

　俺もそんな量渡されたら速攻で逃げるよ。

「それでどうしたんだい？みんなが戻ってくるのは今日の夕方ぐらいだろう？」

「ちょっと話がありまして」

「ふむ。ちょうど暇していたからいいよ」

　それ嘘でしょ。

　その横にある書類、ほとんど手を付けてない跡があるんだが。

「えっと、カルシュさん？」

「こっちではラルベリーと呼んでほしいかな」

「じゃあラルベリーさん、なんで羽を出せたんですか？」

「ん？それは私も分からない。なぜか使える魔法が減ってしまったんだ、バラバラにね。言っても信じてもらえないだろうけど強い魔法も弱い魔法もバラバラなんだ」

　症状はリーシュちゃんと同じか。

　それならちょうどよかった。

「リーシュちゃんが元の力を使えるようになったから頼んでみたらどうですか？」

「本当かい！？」

「え、ええ」

　書類の間からぴょんと飛んできて肩をつかまれた。

　こわいこわい！

　力も入れ過ぎだから！肩痛いよ！

「お、落ち着いてください」

「！　すまないね。待ち遠しくて」

「そんな前からいたんですか？」

「リーシュが見なくなってからちょくちょく来ていたからね。その時は大丈夫だったんだが」

　神様って本当は暇だったんじゃないの？

　そんなコンビニ行ってくるような感覚で……。

「じゃあリーシュに頼もうかな」

「それがいいですよ。俺は知らないですし」

「まさかこんな短期間で見つけるなんてね」

　解決したのは俺たちではない。

　あの時ラグドラーグさんと出会ってよかった。

「ふーん、そういうことだったのね」

「え？」

　どこかから声が聞こえる。

　この声はリーシュちゃん？

「まさかカルシュまでこっちに来ているとは」

「リーシュちゃん！？どうやって分かったの？」

「ちょっと暇だったからジルくんの周りをみていたのよ」

「えっ！？」

　おい！

　俺のプライバシーはどうなんだよ！！

「久しぶりね、リーシュ」

「ええ、ジルくんとはどこで知り合ったの？」

「ちょっとね」

「ふーん、なら教えない」

　リーシュちゃんはプイッとそっぽを向いた。

　そんなわがまま言うか！？

「冗談よ。押し付けたこともあったし」

「ありがとう！」

「それでどうしたの？まだいろいろと残っていたと思うけど」

「身代わりに任せたわ」

　身代わりって……。

　これ以上は関わらない方がいいかもしれない。

「と言っても1ヵ月近くかかるわよ？」

「リーシュで一か月か……。でも元の力が手に入るならいいわ」

「まあそうよね。私ももう戻りたくないわ」

　そこまで不便だったのか。

「じゃあ俺は報告が終わったのでこれで」

「うん、ありがとうね」

「ではこれで」

　俺は校長室からでた。

　リーシュちゃんは教えるために残った。

「さて、思った以上に早く割ったけど、どうしようかな」

　リーシュちゃんが来たから予想よりはるかに早く終わってしまった。

　これならゆっくり来ればよかったなあ。

「シロとペイルでも誘ってクロの手伝いでもしようかなあ」

　思った以上にやることが思い浮かばない。

　それなら人助けをしようかなと。

　とりあえず一旦戻ろう。

「ただいまー」

「ジルー！」

「お兄ちゃん！」

「「おかわりつくって！！」」

　そこまで気に入ったのか。

　すごくうれしいよ。

「と言っても作る場所がなあ」

「ここでつくれないのー？」

「出来なくはないけど……まあいいか」

　火事とかの心配もあったけど、消せばいい話だ。

　つくるための道具一式も一応ある。

「じゃあ何を食べたい？」

「「肉―！！」」

　肉か。

　そういえば肝心な食材があるかわからない。

　時間もあるんだし、取ってくるか。

「シロ、ペイル。肉を取りにいくよ」

「「おー！！」」

　また別のところへワープし、食材確保。

　取り終わって料理をした。

　これまた好評でまた食べたいと言ったが、夕飯もあるからもちろんダメ。

　二人はふてくされてしまった。

　食事までに機嫌なおしてくれたらいいなあ。

　そういえばクロは終わったのかな？

　夕飯の時にでも聞いてみよう。