第40話 帰省

 新しく同じ転生モノを書き始めました。

 良かったら読んでみてください。

 →( https://kakuyomu.jp/works/1177354054886530868 )


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌朝。

 俺たち生徒は荷物を持ち、学校の外へと出た。

 他の生徒もいるため、時間を分けての移動となった。

 俺たち1年は一番早く、俺たちの番が来た。


「みんな!体を壊さないようにね!」

「「「「「はーい!!」」」」」

「じゃあみんな気を付けてね!!」


 時間もあるから短く絞められた。

 みんなとも挨拶すると俺とシロ、ペイルとリーシュちゃんが残った。


「よし!じゃあ行こうか!」

「レッツゴー!!」

「昨日あんなに食べたのによく動けるね」

「子供だからね」


 注意されたにも関わらず昨日はたくさん食べた。

 そりゃあ豪華な料理が目の前にあったら食べちゃうでしょ。

 でも不思議と消化された。

 魔法を使ったわけじゃないけどね。

 全部成長に持ってかれたんだろう。


「とりあえずついて行けばいいの?」

「そうそう。と言ってもすぐ着くけどね」

「そんなに家近かったっけ?」

「そんなわけないじゃん」

「??」


 わざわざ遠いところまで歩くと思う?

 最初学校へ行くときはまだ行ったことがないところだったから使えなかった。

 けど、今は使える!

 まるでルー〇のように!


「とりあえず人が通らないところまで行こうか」

「……」

「心配しないで!そういうのじゃないから!!」


 まだ昨日のこと引っ張ってたのか…。


*


「ここまでくれば大丈夫でしょ」

「シロちゃん…ここでおしまいよ」

「なにがー?」


 もうその流れはいいから!

 そんなことしないから安心して!

 俺は紳士なんだ。

 こどもの見た目しているけど。


「とりあえずこの円からは出ないでね」

「何をするの?」

「ワープ」

「……あー。そういうことね」


 一般的には数人でやれば使える魔法。

 一人でやることはおろか、子供が使うなんて論外。

 俺はその論外にはいっちゃった。

 便利だから気づいた瞬間速攻練習して使えるようにまでしたぐらい。


「リーシュちゃんは使えないの?」

「今は、ね」

「そうだった、ごめん」

「別に大丈夫よ?」


 神様として本来の力を使えないんだった。

 使えていたらこんな魔法ひょいひょい使えるもんね。


「じゃあ移動するよ」

「「はーい!」」

「キャウッ!」

「我が望む道の先へ誘え!転移ワープ!」


 俺たちの周りが光りだした。

 やがて、包み込む。

 光が消えるときには別の風景が目に入った。


「とーちゃく!」

「おうちだー!」

「キャウッ!」

「懐かしいわねー!」


 我が家、実家に到着。

 学校にいるとき帰ろうと思えば帰れたけど少し気が引けた。

 みんなも会いたいけど会えないんだ。

 自分だけ会うのだけはやめておいた。

 あの場所に行くのは練習だからノーカンで。


「ただいまー!」

「あら、シロ!早かったわね」

「ママー!」


 人の姿になってから実の親子のようになっている。

 俺は大人になってたんだ。

 シロみたいに母さんに抱き着きいったりはしない。


「ほら、ジルも」

「……んっ」

「シロもギュー!」


 違う!

 これは親子のスキンシップっていうだけあって。

 決して、決して!行きたいと持ったわけじゃないから!


「あら、可愛いところはまだあるわね」

「そちらの女の子は?それとそのワンちゃん?」

「リーシュ・アクアリアです。訳があってジルくんのおうちに来させてもらいました」

「この子はペイル!学校で仲良くなったの!」

「そうなの!それに随分しっかりしたガールフレンドね!」

「「なっ!?」」

「ちがう!お友達ってだけ!」


 母さんったらいきなり何を言うんだか。

 俺なんかが釣り合うわけないだろ!


「そうなの?まあ自分の家だと思ってゆっくりしていってね!」

「そういえば父さんは?」

「お仕事よ。夜には帰ってくると思うよ」


 そっか、できれば先に話しておきたかったけど。

 じゃあ夜まで暇になっちゃったな。

 何をしようかな。


「まず荷物を片付けてきてね。リーシュちゃんはジルたちと同じ部屋でいい?」

「大丈夫ですよ」

「ちょっと狭いけどお願いね」


 俺たちがまだ小さいからよかったけど。

 元の身長ぐらいだったらめちゃくちゃギュウギュウ。

 子供部屋は子供部屋だからね。

 そこまでは広くない。


「随分ものが多いわね」

「ああ、邪魔だったら端に寄せといて」

「いいの?大切そうな本もあるけど」

「俺が書いたやつだからね。大体覚えているしそこまで大切じゃないから」

「だめよ。ものは大切にしないと」


 うーん、もう使わないからなあ。

 紙にびっしり書いた後消すのもめんどくさいから束にして本にしている。

 学校へ行くまではシロと遊ぶか魔法について調べるか。

 父さんも遊ぼうとしてくれたけど仕事が忙しい。

 母さんは家事で手一杯。

 毎日手伝っていたのがもう懐かしいや。


「中を見ていい?」

「いいよ。あまり面白くないと思うけど」

「なになに?魔法型発電機…?」

「ああ、それね。熱の蒸気を利用するか水力でやったり風力もいいかなあって思ったやつ」

「実現は難しいの?」

「得られる電気が少ないからね。それなら雷の魔法で充電したほうがいいかなって」

「そんなことできるの?」

「これ、やってみる?」


 これは前に作ってみたやつ。

 多少だが雷の魔法を使える。

 精々『電気が通ったかな?』レベルまでしかやらなかったけど。

 試作品を作る分には十分だった。


「随分器用なことをするわね。こんな感じ?」

「あ、流しすぎると」

「え?キャッ!!」


 あーあ。

 黒い煙を出して壊れちゃった。

 試作品なんだからこんなものか。

 これで実験の成果を得られたな。


「どういうことなの!?」

「強い電気を流したら壊れちゃう。まだ微量しか貯えられないんだ」

「先に言ってよ!!」


 言ったら実験できなかったからね。

 俺でも怖いからやりたくはないし。


「それで、これは?」

「それはシロの成長記録」

「やっぱり…。そういう目で見ていたのね」

「そうじゃないって!とりあえず中を見て!」

「……細かく書かれているわね」


 さすがに毎日とまではいかないものの、毎週シロの成長記録を書いていた。

 もちろんドラゴンの姿の時。

 今は書いていない。


「わざわざ絵まで描いて、本当にうれしかったんだね」

「そりゃあもちろん!夢だったからね!」

「シロだー!」

「そうだ!シロ、せっかくだし今のを書いてあげようか?」

「うん!」


 即行動。

 俺たちは外へ出た。

 何かシロがモジモジしているけど…。


「どうしたのシロ?」

「あー、シロちゃん大丈夫よ。私はシロちゃんがドラゴンだって知っているから」

「そうなの!?!?」


 言ってなかったな。

 俺はもうとっくにこの状況を知っていたから言うのを忘れていた。

 どっちにしろ、ドラゴンになれる機会も限られていたしよかったか。


「じゃあいっくよー!んー、ポンッ!」

「ついでにペイルも書くからなっていいよ」

「キャウッ!」


 二人を書くことにした。

 シロについては続きから。

 ペイルは初めから。

 二人と書いていたら時間が経っていた。


 昼を食べ、食後の運動。

 シロは久々のドラゴンとあって元気よく動いていた。

 それを見ていたリーシュちゃんはずっと驚きっぱなし。

 最後の方はみんな仲良く遊んでいた。


 夜、父さんが帰って来た。

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