第39話 夏休み前の喜び

「おはよう!みんな!」

「「「「「おはようございまーす!」」」」」

「今日は明日からの夏や――」

「「「「「やったー!!!!」」」」」

「まだ最後まで言ってなーい!!」


 みんなしてフライング。

 やっぱり夏休みは楽しみだよね!


「注意はもう紙で渡したけどみんな読んだ?」

「「「「「はーい!」」」」」

「よしよし!じゃあ今日はやり残したことが無いようにすること!」

「マルー!マルにバイバイしないと!」

「そうね!じゃあさっそくみんなで行きましょうか!」


 午前中からだけどマルいるかなぁ。

 と思ったけど大丈夫だった。

 いつも合流するまで最初の層でぶらぶらしているみたい。

 すぐ見つかった。


「マルー!」

「シロ、今日は、早いね」

「実は明日から会えなくなるのー!」

「あー、もう、そんな季節、なんだ」


 ダンジョンだから外が見えない。

 不思議と温度も一定。

 住めることならダンジョンがいいなあ。

 でも季節を楽しめないのは嫌だな。


「マルは知ってたのー?」

「何回か、みんなみたいな、人達、見てきたから」


 一体マルはいくつなんだ…。

 先生の時からいるんだから結構昔からいるんだよな。

 軽く見積もっても10年はずっとここにいる。

 外にでたくてもボスだから出れないんだよね。


「じゃあ、待ってる」

「マルもこないー?」

「マルは、この子と、いる」


 ベローンと持たれている灰色スライムことデラデラ。

 マルはデラと呼んでいたから俺たちもデラと呼ぶようになった。


「じゃあ、いくね。みんな、楽しんできて」

「バイバーイ!マルー!元気でねー!!」

「バイバイ」


 とまあマルとのお別れを済んだ。

 お別れというか1か月間だけいないだけなんだが。

 大学の長期休みに実家に帰るかあっていう感覚でいいと思う。

 でも友達だからしっかり挨拶はしておかないと。


「そういえばクロたちはどうするの?」

「私たちにも帰る場所はあるにはあるわ」

「へぇー!どこらへん?」

「秘密よ」


 なんだい!けち!

 心配したから聞いたけど、帰る場所があるなら一安心。

 そういえばもう一人帰る場所がなさそうな人がいるな。


「リーシュちゃんはどうするの?」

「ジルくんたちとついていくけど?」

「え?」

「あれ?シロちゃんから聞いていない?」


 初耳なんですが。

 どゆこと?

 もしかしてシロ忘れていた?


「忘れてたー!」

「シロ、そういう大切なことはしっかり教えて」

「わかったー!」

「よしよし、分かればいいよ」

「ジルくんってシロちゃんにとことん甘いよね」


 可愛いからな。

 ドラゴンの姿ではかっこよく、人の姿だと可愛い。

 なんて贅沢なスペックなんだ!

 それを甘やかしちゃダメなんて俺にはできないよ。


「それでいいかしら?」

「まあいいよ。父さんも母さんも喜ぶと思うし」

「なら決定ね!」


 まあそれは構わない。

 どっちにしろ、連絡しようにも何日かかかる。

 昨日今日知ったことで変わりはしない。

 ペイルも一緒に帰るからそのことだけはあらかじめ知らせといたけど。


「やることは終わったけど、あと暇だな」

「それなら明日の準備とかはどう?」

「そういえば手を付けていなかったな」

「シロもー!」

「じゃあ部屋に戻りましょうか。先生いいですか?」

「もちろんいいわよ!みんなも忘れ物はないようにね!」


 めちゃくちゃ早く終わったように見える。

 けどダンジョンを往復しているからもう昼時。

 お腹もすいたし早く終わらせようか。


「シロ―、どれぐらいで終わる?」

「たくさん!」

「たくさんって…」


 どんぐらいなんだよ。

 荷物もそんなに持って帰るつもりなの?

 俺たちには移動手段あるけどできれば少しにして欲しいな。


「ジルはー?」

「ん?ああ。こんだけだよ」


 バッグ一つだけ。

 持って帰ったら持っていくときに苦労するからね。

 帰省した時に学んだ。


「じゃあ待ってて!」

「手伝おうか?」

「大丈夫!これぐらいやるよ!」


 シロが成長しているよ!

 これは日記に書かなければ!

 ……あ、日記なんて書いてないや。


「よし、俺は終わり。あとはシロだけど」

「うんしょ、よいしょ」

「まだかかりそうだな」


 だんだん、眠くなってきた…。

 これ、抗えない、やつだ…。


*


「あ、あれ?」


 やっぱり寝てしまった。

 外はもう夕焼け。

 けっこう寝てしまったみたい。


「あはは、シロまで一緒に寝ちゃったのか」


 ベッドを見ると隣にシロがいた。

 うげ、よだれ垂れてる…。

 これは洗わないと。


「シロ起きてーって今日二回目だな」

「んー、お腹すいたー」

「そりゃそうだろ…」


 昼抜きでそのまま爆睡しちゃったんだからな。

 俺もお腹空いたわ。

 ってか誰も起こしてくれなかったのか…。


「とりあえず教室へ行こうか」

「はーい…」


 教室へ向かう。

 なんか12時間ずれての行動してるような。

 昼夜逆転してるみたい…。


「おまたせー…」

「あれー?リーシュちゃんだけー?」

「そうよ。みんなまだ準備中よ」


 というと、もしやみんなも昼抜き?

 それなら文句は言えないな。


「シロちゃんたちは熱心だったみたいね」

「どういうことー?」

「みんなお昼食べている間ずっとまとめていたんでしょ?声をかけるのも申し訳ないからそのままにしておいたの」


 食べてるじゃないか!

 声かけていいんだよ?

 食事なんだから、抜いちゃダメなんだ!

 しかも成長しているとき!

 小さいままなのはごめんだよ…。


「それでシロちゃんは終わったの?」

「うん!終わったからジルと一緒に寝た!」

「えっ……」

「違う!ただ昼寝しただけだから!!」


 そんな『マジかよ…』みたいな目をしないで!

 本当にただ眠くなって寝ただけだから。

 深い意味なんて一切ない言葉通りですから。


「そ、そう。仲がいいわね」

「うん!」


 どうしてだろう、目を合わせてくれない。


「それじゃあ夕飯に行く?先生は各自でいいよって言ってたから」

「行く!」

「じゃあ行きましょうか」

「あの、俺は…」


 置いて行かれそう…。

 後ろをとぼとぼ歩いて行った。

 まあ廊下に出てすぐシロがこっちに来ていつも通りになったけど。


「今日の夕飯は夏休み前で最後だから豪華だって」

「「やったー!!」」

「でも食べ過ぎないでね。明日動けなくなっちゃうわよ?」

「大丈夫だよー!」

「そうそう、大丈夫大丈夫」


 根拠があって言っているんだ。

 今日は満腹食べよう。

 昼飯を抜いちゃったんだし。


「どうなってもしらないわよー」


 3人でご飯を食べていたらみんなもやってきた。

 いつも通り賑やかなご飯となった。

 もちろん先生もいる。


 夕食後、部屋に戻って明日に備え早めに寝よう!

 ……もちろん全然寝れない。

 なんでシロは寝れてるの…。

 結局寝るのに2時間ぐらいかかってしまった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 これにてすでに出来上がってる部分は終わりです。

 続きはちょくちょく更新していくので読み続けていただけると嬉しいです。

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