第16話 ゴブリンを倒すぞー!

「「「「「いただきまーす!」」」」」

「いただきます!今日のお弁当は食堂の人が詰めてくれたのよ!」


 場所は最初に訓練するはずだった草原。

 すこし岩のほうを見たらスライムがいる。

 やっぱりラグドラーグさんのせいで隠れていたのかも。


「ほらシロ、好き嫌いしないで食べなよ」

「いや!」

「あっ!こらっ!」


 やっぱりトマトもどきを食べたがらない。

 正確に言うと…なんだっけ?

 なんかもうトマトでいいやって思ったら忘れちゃった。


「リーシュちゃんにあげる!」

「えっ!いやっ、ちょっ!!」

「え?」

「な、なによ!」


 何でそんな慌てているの?

 しかも入れられたとき顔を青くして。

 今は赤いけど。

 面白い神様だな。


「クロにもあげる!」

「……あ、ありがとう」


 ひきつった笑い方しているな。

 もしかしてこの二人も。


「この野菜、嫌いなのか?」

「「そんなわけないじゃない!!」」

「それなら食べなよ?」

「「うっ…!!」」


 あれあれ?

 図星ですか?

 だめですなー、好き嫌いは。


「それならジルが食べてみなよ!」

「そうよそうよ!」

「これでいいか?」


 一つとってひょいぱく。

 ん~!うまい!

 冷やしたらもっとうまいだろう。


「が、ガウはどうなの?」

「これ?うまいじゃん」

「「うそ…」」


 ガウも食べれる。

 というか俺とガウは好きなようだ。


「先生はどうなの!」

「もちろん食べれるわよ?ダメよ、好き嫌いしては」

「ぐっ!もうだめだわ!」

「クロちゃん!ここには敵しかいないわ!」


 なんの劇しているんだよ。

 まさかの動きまで加わって面白いじゃないか。


「シロちゃんもよ。はい、あーん」

「んー!」

「こらっ!食べないとお肉あげないわよ!」

「んー!…あーん」


 しぶしぶ食べたな。

 まあ一個食べれいいでしょ。


「ほら、二人もよ。あーん」

「「あ、あーん…」」


 これで全員食べたな。

 こんなに美味しいのになんでダメなんだろうなあ。


「ジルくんは苦手な食べ物はないの?」

「ん~、出てきたことがある料理で苦手なものはないかなー」

「嘘よ!何か絶対あるはずだわ!」

「クロ、ないものはないんだ」

「みとめたくないー!」

「ないー!」


 シロまでマネするなや!

 というかまだ食事中なんだ!

 バタバタしちゃだめ!


「3人とも。これからも好き嫌いはだめよ?」

「「「は、はーい…」」」


 楽しい弁当タイムが苦手克服の時間になった。

 俺とガウは楽しいけど一部3人が楽しくなさそう。


*


「じゃあ引き続きゴブリンを探そうか!」

「見つかるかなぁ…」

「大丈夫よガウくん!さっきより敵が顔を出すようになってきたから!」


 ラグドラーグさんと別れて1時間ぐらい。

 スライムの数が増えてきた。

 もしかしてラグドラーグさんどっかいったのかな?


「こんなにスライムがいるならいそうだけど…あっ!」

「なになにー?」

「みんな!あっちを見てごらん!」


 なになに?

 たしかあっちにはスライムが歩いていたところだけど。


「あれがゴブリン?」

「そうよ!あれがゴブリン!たぶん食べ物が欲しくてスライムをつぶしているんじゃないかな」


 さっき楽しく歩いていたスライムが潰されている。

 むごい…。


 怖い、気持ち悪いとかではなく普通のゴブリン。

 俺でも倒せそう。


「じゃあまずは私がお手本としていくから見ててね!」

「「「「「はーい!」」」」」

「いっくよー!えいっ!」

「グゲッ!?」


 あ、ゴブリンも弱い。

 たった一発でやられているわ。


「せんせー!オレまた一番にやりたい!」

「いいわよ!さっきのを取り戻そうか!」

「おう!」


 さっきはレアスライムのせいで倒せてなかったな。

 次こそは大丈夫でしょ。


「じゃああのゴブリンはどうかしら?」

「おけ!うおー!」

「ギギッ!」

「そりゃあっ!」

「グガッ!」


 さすがガウ。

 先生よりうまく倒せている。

 お手本よりお手本だ。


「よっしゃー!」

「すごいわガウくん!」

「先生より上手だったー!」

「こ、こらっ!シロちゃん!」


 俺の代わりにシロが言っちゃった。

 もしかしたらみんな同じ感想なんだろう。


「じゃあ次は…シロちゃんとジルくん一緒に行ってみようか!」

「俺と?」

「シロがー?」

「そうよ!」


 先生は指をさすと二匹のゴブリンがスライムを追っかけている。


「いい?二人で戦うときは息が合わないといけないの」

「だから俺とシロなの?」

「そうよ!いけるかな?」

「「もちろん!」」


*


「シロ、準備はいいか?」

「いつでも大丈夫!」

「よし!いくぞ!」

「「おりゃああっ!!」」


 不意を突くために後ろからの攻撃。

 右は俺、左はシロが倒す。

 結果は言うまでもない。


「よっしゃー!」

「やったー!」

「すごいわ二人とも!まさか一発目でできるなんて!」

「えへへっ」


 やっぱ俺とシロは息が合ってるな。

 もう一度やってもできる自身しかない。


「じゃあ次はクロちゃんとリーシュちゃん!やってみよっか!」

「できるかなー?」

「さっきの二人見たいにやってみない?ちょっと耳を貸して!」


 なにかクロに話しているな。

 作戦でもあるのか?


「それじゃあ…」

「いくよー!」

「えいっ!」


 あ、魔法を使った。

 目のまえにいる2体のゴブリンの足と地面を凍らせて動けなくした。


「そりゃあっ!」

「ガガッ!?」

「ええいっ!」

「ゲグッ!?」


 おお!

 動きが止まっているから確実に倒している。


「「いえーい!」」

「二人ともお見事!できれば剣だけで倒してほしかったけど、いい案だったわ!」


 やっぱりだめだったのね。

 そうなると最低限でも剣を使えるようになってほしいのかな。


「みんな終わったよね?あとは帰るだけだけど、もうちょっと練習していく?」

「「「「「していく!」」」」」

「あらあら、みんなまだ元気ね!私が見える範囲内ならどっちと戦ってもいいわ!けど違う敵がいたら呼んでね!」

「「「「「はーい!」」」」」


 なんかうまくいってから楽しくなってきた。

 やっぱこっちの世界はいいなあ。


「特にジルくんとリーシュちゃん!」

「「え?」」

「また勝手にどこかにいなくならないでね?」

「「はーい…」」


 くっ!覚えていたか!

 でも安心してください。

 もう勝手に行かないので。


*


 あれから1時間弱。

 さすがに疲れて先生のところに行ったらみんなぞろぞろ集まってきた。


「もういいかしら?」

「「「「「は~い……」」」」」

「みんな、疲れるのはいいけどまた歩いて帰るのよ?」


 そうだった…。

 やばいなあ。

 無事に帰れるかなあ。


*


 この後、死にそうながら学校へ戻ってきた。

 戻った後は即時解散となり部屋に戻った。

 俺とシロはベッドに入ると死んだようにすぐに寝た。

 おそらくみんなもすぐ寝ただろう。

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