第14話 『スライム を 見つけた!▼』
歩くこと1時間。
時々シロとクロがどこかへ行きながらも無事に到着。
「到着!みんなしっかりいるよね?」
「シロいるよ!クロも!」
「よかったー!本当にフラフラしていちゃだめよ?」
「「はーい!」」
そのはーい、大丈夫?
俺はフラフラするたびに心配になってたよ。
「じゃあさっそく戦闘をって思ったんだけど…」
「静かだね」
「ねー」
スライムやゴブリンはいない。
ただの静かな草原。
もはやただのピクニック。
「うーん、ちょっと隠れる場所がないからいないのかな?」
「なんで隠れちゃうのー?」
「ほかの動物に食べられちゃうの。だからどこかに潜んでたりするのよ!」
そういうとユリ先生は大きな岩のほうへ行った。
ちょっと姿が見えなくなったけどすぐひょっこり戻ってきた。
「本当はこういうところにもいるんだけど妙ね。いないわ」
「どうするの?」
「心配しないでガウくん!向こうに見える林にきっといるから!」
きっとね。
そんなことでまた移動となった。
「でけぇ…」
「ここは他の木より大きいのが生えるからね!」
前の世界だと親の実家に帰るときぐらいしか天然の木を見ることが無かった。
この身長でもわかるぐらい大きさが違う。
80mぐらいかな?
たぶんそれよりでかい木もあるだろうけど俺が見た中で断トツ1位だわ。
「ここなら隠れる場所もたくさんあるからいると思うけど…」
「いたっ!」
「えっ!?シロちゃんどこにいた?」
シロがさっそく発見。
というか若干遠いところにいるな。
また勝手に動いていたな。
「ほらー!」
「「「「手づかみ!?」」」」
「シロちゃん!さすがにそれはまずいわよ!」
おいー!
片手でぶらーんとさせないで!
ほらみろ!
めちゃくちゃ逃げようとしているじゃないか!
「あら?そのスライム色が違うわね」
「色での違いなんてあるんですか?」
「あるけど、普通は怒っていたり悲しんでいたりすると色が変わるんだけど」
このスライムの色は薄い灰色。
若干透けているけど。
「というか、そんな風にスライムってつかめるの?」
「そうよね。普通はバラバラになるけど」
レアスライムを発見したらしいぞ。
ビギナーズラックみたいだ。
「リーシュちゃん、こんなことってあるの?」
「え、ええ。あるんじゃないかしら?私が見てない間に進化したんでしょ!」
そういえばずっと見てなかったんだっけ。
まあいいや。
無事に練習の相手を見つけたんだし。
「それじゃあこのスライムで練習しましょうか!」
「オレが最初にやりたーい!」
「いいわよ!じゃあガウくんからね!」
トップバッター、ガウ選手!
さてどうなるんでしょうか!
「うおー!」
「!?」
「おりゃあ!」
『バキッ!』
あれ?
モロに入ってなかったか?
なんか無傷っぽいんだけど。
「あ、あれ?」
「!!??」
「あっ!おい!」
スライムはそそくさと逃げて行った。
「ユリせんせー!倒せないじゃーん!」
「おかしいわね。今の攻撃だったら倒せるはずなんだけど」
「珍しいスライムだから?」
「そうかもしれないわ」
珍しいスライムは強いと。
それに見た目がメ〇ルスライムみたいだったし。
でも倒したら経験値が高そう。
「じゃあ普通のスライムを見つけようか!」
「「「「「はーい!」」」」」
*
探すこと10分。
無事普通のスライムらしきスライムを見つけた。
「…これって普通のスライム…だよね?」
「合っているわ!これが普通のスライムよ!」
見つけたのはなんと俺。
そういえば普通の色を聞いていなかったから不安だった。
色は少し水色混じり。
水のみで生活をするからこうなったとのこと。
「そうなるとさっきのスライムは何か違うものを食べたのかな?」
「さすがジルくん!たぶんだけどそうだと思うよ!」
さすがにスライムで実験をする人はいないとのこと。
研究者は役に立つことしかしないらしくこういう生態系は二の次。
生態も大切だと思うけどなあ。
「じゃあ次は、リーシュちゃん!やってみましょうか!」
「わたし!?」
「ええ!ガウくんはまた後でね」
「わかった!」
次はリーシュちゃん。
さて、俺と一緒ぐらいだったリーシュちゃんでも倒せるのかな?
というか倒してくれないと俺の不安が高まっちゃう。
「え、えいっ!」
「!?!?!?」
「やったーー!!」
「おめでとう!バッチリだわ!」
斬ったというより破裂した。
…めちゃくちゃ飛び散ってない?
神様補正でリーシュちゃんについてないけど。
「じゃあ次のスライムを――っと、ここら辺にたくさんいるわね」
「あ、ほんとだ」
「たくさんいるー!」
四方八方にたくさんいた。
なにこれ、意識した途端こわい。
「じゃあ次は、ジルくんとクロちゃん!一緒にやってみましょう!」
「「はーい」」
「じゃあ俺は右の」
「私は左ね」
見た目も大きさも同じ。
分身でもしているのか?
「おりゃー!」
「たあー!」
よし!
うまく倒せたっぽい!
リーシュちゃんみたいに自分に飛び散らなかったのが本当に良かった。
「二人ともいいわよ!じゃあ最後にシロちゃんね!」
「わかった!いっくよー!」
シロが真っすぐスライムのほうに走っていった。
けっこうスライムがたくさんいるほうへ。
「えい!やー!とー!」
「すごいわシロちゃん!」
「えへへっ」
集団丸ごと倒した。
つ、つえー…。
たとえ人の姿でも戦闘スキルは高いのか。
「じゃあ次はゴブリンを倒しましょう!少しバラバラで探しましょうか!しっかり見える範囲で探してね!」
スライムを倒せたから少し余裕を見て各自で少し探すことに。
よし!
また最初に見つけ出してやる!
*
「全然見つかんねー…!」
「ジルくんも?」
「あ、リーシュちゃん」
先生たちと少し離れた場所。
たしかに見えるからセーフでしょ。
「ん?でもなんでこっちに?」
「これを見て」
「これは、鱗?」
「そうよ」
でもなんで鱗?
まさか!
「シロが!?」
「安心して!シロちゃんのではないよ。さっき確かめてきたわ」
え、じゃあそうなると…。
「ここにドラゴンがいた、もしくはいるわ」
「会ってみたい!」
「バカ言わないで!私一人ならまだしもみんながいるのよ!逃げるのが一番だわ!」
さすがに守りながらはきついのか。
「シロがいても?」
「常にドラゴンでいるようなドラゴンよ?同じドラゴンでもシロちゃんでは歯に立たないわ」
だから逃げるが一番か。
でもどうしても俺の中でこう聴こえる。
「たとえ危険でも、憧れるドラゴンに会いたい」
「何を言っているの!?」
ですよね。
それでも会いたいものは会いたいんだ!
ダメというとやりたくなるでしょ?
今はそれに加えてシロ以外のドラゴンがいると聞いたんだ。
見つけたくて仕方ない。
「いいから!早く先生のところへ――」
「待て。
「う、うそ…」
後ろを振り向くと緑色の、シロの倍以上の大きさ。
人なんて軽く捻り潰せると言わんばかりのドラゴンがいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます