第11話 新しい子がきたよ!
まぶしい…。
もう朝か。
さすがに今日は一緒に寝ていない。
いつまでも一緒に寝てたらダメだからね。
「シロー。おきてー。ってあれ?」
「ざんねーん!もう起きてるよー!」
「わっ!」
ベッドの下から出てきた。
何してるんだよ…。
「何してるの?」
「早く起きちゃったからジルを驚かそうとしていたの!」
そうかそうか。
朝早く起きちゃったから驚かそうとね。
準備を先にしてほしかったけどなあ。
「驚いた?驚いた?」
「驚いたよ。って、さっき声出しちゃったしな」
「うししっ」
すんごい笑顔。
可愛い歯を出しながら笑ってる。
これは何か企んで成功したときの笑顔。
何かあると笑い方が変わるのが面白い。
「じゃあ準備してから行こうか」
「うん!」
*
「おはようみんな!」
「「「「おはようございまーす!」」」」
「今日は冒険の前日だから訓練をする日よ!」
待ってました!
痛いのは嫌いだからお手柔らかに。
「の前に、私たちの班に新しい子が入るわ!」
「新しい子?」
「「わーい!」」
クロとシロはうれしいらしい。
一日遅れで来るもんなのかな?
こっちの世界だし、仕方ないのかな?
「入ってきて!」
「失礼しまーす」
「ん?」
気のせいかな?
見たことあるかもしれない。
「みんなにお名前を言ってね」
「初めまして!リーシュ・アクアリアです!よろしく!」
「えっ!?」
あっ、思わず声を出しちゃった。
みんなの視線がこっちに集まる。
「ど、どうかしたのジルくん?」
「まさかジル。あの子が気になるのかー?」
「そ、そうじゃなくて!」
俺の気のせいか?
でも本人にしか思えない。
(リーシュさん、いますかー?)
(いますよー!)
(あれ?気のせいだったのかな?)
んー、解せない。
もしかして子供とか?
(リーシュさんって子供がいたりは?)
(いるわけないじゃない。結婚すらしたことないわ)
それじゃあ違うか。
やっぱり本人じゃね?
「じゃあみんなのほうの席についてほしいんだけど」
「好きなところに座っていーい?」
「いいわよー!」
何そのおねだり。
何か買ってーって言われたら買っちゃうわ。
「じゃあここがいい!」
「あっ!ちょっと!」
席順は左からクロ、シロ、俺、ガウ。
入ってきたのは俺とガウの間。
まさかの割り込み。
「それはないだろ!」
「…だめ?」
「…今回だけだぞ!」
ガウの負けー。
涙目でその言い方はずるい。
ってか絶対子供じゃないだろ!
俺もそうだけど子供でこんなことできたら人間じゃねえ!
「ねえねえ、ちょっといい?」
「いいわよ」
さすがに出ていくのはどうかな。
ダメだろうなあ。
そうなると、うーん。
(これなら話せるかしら?)
(やっぱりリーシュさんじゃん!)
やっぱり!
合ってたわ!
(なんでこっちに来ているんですか!)
(ジルくんが楽しそうにしていたから来ちゃった!)
来ちゃったっておいおい。
神様降臨しちゃったよ。
(仕事?の方はいいんですか?)
(友達に頼んだわ!)
ずっりー。
押し付けてきたの間違いじゃなくて?
(でもいいんですか?)
(なにが?)
(いや、神様が来るのっていいのかなあって。)
(それについては大丈夫!安心して!)
神様が大丈夫って言っているんだ。
大丈夫でしょ。
信じてますからね?
(それと今からさん付けじゃなくてもいいわよ?)
(それならリーシュちゃんで)
ちょっと背中がむず痒い。
今までさん付けだったのにいきなりちゃん付けは妙に意識しちゃう。
「ジルくん。リーシュちゃんに夢中なのはいいけど右を見てごらん?」
「右?あっ」
「ブー!」
シロがめっちゃふてくされている。
頬なんてもうパンパンに膨らんでる。
パンッってやってみたい。
「ジルー!」
「わっ!おい!」
頭をつかむと自分の胸のほうに持っていかれた。
ふくらみはないものの、なんか柔らかい。
だめだだめだ!
俺はロリコンじゃないんだから!
「べっー!ジルは渡さないんだから!」
「俺はモノじゃない!」
「ふふっ。ジルくんはモテるのねー。」
シロにはね。
本音を言うとめっちゃうれしい。
けどその分恥ずかしい。
「仲良くするのもいいけど訓練をするわよ!」
先生完全に空気だった。
怒っているのもあるけど少し寂しそうに見える。
*
リーシュちゃんの紹介のために教室に集まっていた。
それが終わったから訓練をするため外へでた。
「さて!じゃあまずはこれを持って!」
「木の剣?」
「そうよ!本物だと危ないからね!」
ちなみに木刀ではない。
剣の形をした木。刀ではない方。
刃ほど細く切っていないから殴るって感じなのかな?
「冒険で出る敵は覚えているかしら?」
「ゴブリン!」
「それとスライム!」
「そうよ!この2種類を倒すために今日は訓練をするわ!」
ゴブリンとスライム。
スライムはすぐに想像できるけどゴブリンはどうなんだろう?
ゲームによって怖かったり弱そうだったり。
「ちなみに、ゴブリンとスライムはその木の剣でも倒せるわ!」
「ほんとにー?」
「もちろん!ここでは試せないけど冒険に行ったときはまずは先生がお手本を見せるから!」
「じゃあまずは剣を振る練習ね。よく見ててね!」
そういうと目の前にある戦闘訓練用の人形に剣を当てた。
うーん。
なんかぎこちないけど遠心力でごり押ししてる。
「こんな感じよ!」
「なんかお父さんの剣の振り方とちがーう」
「うっ!ガウくんのお父さんも冒険者なの?」
「違うよー。軍だって言っていたよ。」
じゃあ俺の父さんと同じか。
ガウは父親の剣を見ていたのか。
俺はそういうのは見たことない。
ずっと本を読んでいたからね。
「先生、こうやるんじゃないの?」
ガウはそういうと剣を振った。
遠心力任せではなくしっかりと振っている。
「そ、そうよ!そういう感じ!先生も同じだったでしょ?」
「「「「「全然違う」」」」」
「あ、あれー?」
ちょっと雲行きが怪しくなってないかなー?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます