第8話 アールバル

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「とうちゃーく!」

「懐かしいです!」

「あんまり変わってないなー」


 道中、狼を狩りつつアールバルに到着。

 群れに出会ったりしたおかげで依頼より多く倒せた。


「最初に冒険所へ行きましょう」

「ここにもあるの?」

「ここだと商人の護衛や荷物運びとして雇ったりするからあるんだよー」

「なるほどね。後でもいいんじゃ…」

「面倒事を先に住ませた方がいいと思います。それにお金も入りますから買える量も増えますよ?」

「よし!先に行こう!これもお米の為だ!」

「なんか妙に張り切ってるねー…」


 お米の為だ!

 さきによってさっさと終わらせるぞ。

 近くにあると段々お腹が空いてくる。

 あ、今お腹なったかも。


「とりあえずこの狼を討伐した証拠と依頼のやつを渡せばいいんでしょ?」

「あとはカードみせるだけだよ」

「はい。ついでにここでドラゴンの素材を売れるか聞いてみましょう」

「ここで売れるの?」

「ほかで売るには商人の知り合いがいないとだめだからねぇ。商人になるためにも試験があって僕はとってないよ」

「私もありません。ですので冒険所で買い取ってくれることが多いんです」


 冒険所便利だな。

 商人になるためには試験が必要なのかあ。

 勉強嫌いなんだよな。

 無理して取らなくてもいいかもしれない。

 それほど勉強はしたくないんだ。


「取っといた方が後々便利になりますから一緒に取りましょう、旦那様」

「はい!わかりました!!」

「じゃあ僕も頑張ろうかなあ」


 そのお願いの仕方はずるい。

 上目遣いで顔を斜めにするそのあざといポーズ!

 速攻でいいよって言ってしまった。

 ……勉強いやだなあ。


「それはまた後で話しましょう。とりあえず売れるか聞いてみましょう」

「わかった。じゃあ行こうか」


 街をぶらつき冒険所を探すこと5分。

 賑やかなところにあって人の出入りも多かった。

 そんなに依頼が多いの?

 混んでそうだなあ。


「やっぱり混んでいるよねぇ…」

「早く来てよかったかもしれません。これを見てください」

「混雑時間の詳細?ってうげぇ!?」

「これで空いてるなんてうそでしょー!」


 時刻は夕方近く。

 一番のピークは昼の前後。

 今はそのピークが去って少ない方らしい。

 それでもこの夢の国の行列レベルってどういうことなんだよ…。


「どうします?明日にしますか?」

「うーん、早めに終わらせたいから我慢しようか」

「うげー」

「分かりました」


 こうして俺たちもその行列に並ぶことに。

 列もそれなりに進んでいき、約一時間。

 やっと俺たちの番まで回ってきた。


「お次の方どうぞー!」

「はーい!えっとこれとこれ」

「依頼書と証明ですね。確認いたします」

「あ、それと買い取ってほしいものがあるんですが」

「かしこまりました。どれでしょうか?」

「これらです」


 全部出すには場所がないからとりあえず高そうなものから。

 お肉の部分はもちろん売らない。

 夜に食べようって話になったから売るわけにはいかない。

 それにしてもあの量何日分あるんだ?

 とてにも男1人に女2人、一日だけで食べきれる量じゃないんだが。

 まあ取って置けばいいか。


「こ、これは…?」

「ドラゴンの牙に爪です」

「こ、こ、これで全部ですか?」

「いえ、まだあるんですがここだと出し切れないので…」

「少々お待ちください!!」

「えっ?」


 どゆこと?

 渡したら受付の人奥に行っちゃった。

 ああ、買い取るためのお金を取りに行ったのかな。

 こんなところに置いていたら盗まれる可能性もあるから。


「お待たせしました。申し訳ございませんが奥の部屋まで来てもらえますか?」

「は、はあ。わかりました」


 受付の人に奥へ連れてこられた。

 周りの人達も物珍しさの目で見ているし…。

 冒険所に行くと人に見られるなあ。

 さっさと終わらせてお米買いたいのに。


「グランドラードさん、連れてきました」

「おう!ありがとな!」

「では私はこれで。あとはあの人が話しますので」

「分かりました…」


 何この元気いっぱいの人!

 冒険者と言えばこんな人みたいな見た目をしている。

 ゲームの初期キャラみたいな。


「俺はグランドラード・ガンダーだ!」

「ユウジと言います。えっと、俺たちは何かしちゃいましたか…?」

「まあしでかしたな!まさかドラゴンの素材を買い取ってくれとは…。笑っちまったよ!!はっはっはっ!!」


 テンションたけぇ!!

 やばい、元気吸われている気がする。

 ノリについていけない。

 後ろの2人は…無理そうだ。

 何この人、やばいとか言いそうな目している。


「ほかに売るところがあれば買い取ろう。見せてもらっていいか?」

「はい。どうぞ」

「ふむ。食べられる部位以外全部あるな。もう食べたのか?」

「いえ、夜に食べようかと」

「羨ましいな!うまいぞー!あのコッコゴールドには劣るもの、やみつきになるからな!」

「それでどれぐらいで買い取ってくれるんですか?」

「うむ。傷は気になるがそれでも価値がある。全部合わせて金貨500枚でどうだ?」

「「「金貨500枚!?!?」」」

「なんだ、知らないで持ってきたのか?」


 嘘だろ!?

 国王からもらったお金には届かないもののこれで500枚!?

 100枚でも十分金持ちなのにその5倍…。

 やばい、お金の価値が分からなくなる。


「ドラゴンの素材をバラバラに持ってくるやつはいるが全部持ってくるやつはまずいないからな!俺でも無理だ!」

「冒険者なんですか?」

「今はここの管理を任されているからあまり出ないがそうだぞ!水の流れのように敵を倒す姿から『水流魔剣士』とまで呼ばれている冒険者だ!」

「聞いたことあるなー。たしかランクSじゃなかったっけ?」

「そうだぞちびっこ!俺はランクS冒険者だ!」

「ちびっこじゃない!」


 この人がSの冒険者!?

 ただ元気な人にしか見えないんだが。

 そんなにすごい人なのか。


「それで売ってくれるか?」

「はい、どうぞ」

「そうだ。もう一つ用事があったんだ。ほれ、盗賊に賞金がかけられていたからその金だ」

「え?」

「ランデック王国から連絡が入ってな。恐らくこっちに来ると言われて用意していたんだ」


 情報はえぇ…。

 こっちの世界でも情報は早いのか。

 報酬が増えたんだからいいんだけど。


「ではこれで終わりだ!また盗賊に襲われないようにな!」

「不吉なこと言わないでくださいよ!!」

「行きましょうか」

「ライスボール買いたいんでしょ?」

「そうだった!では失礼します!!」

「おう!」


 そうだった!

 早くお米を買わないと。

 売り切れとかやめてくれよ!!


「……あ、呼び名について言うの忘れてた」


*


「どこでライスボールとやらは売っていたの?」

「ここの屋台通りにあったよ!」


 お金をもらい、いざお米へ!

 100円握りしめてお菓子を買いに行っている気分。

 今は100円でも食べたいものは買えないけど。


「あ!この人が売ってたよ!」

「ライスボールありますか!!」

「すまねぇな、船が事故に合って仕入れが間に合ってないんだ」

「そ、そんなぁ…。それじゃあお米も」

「ないな。あったとしても誰も売ってくれもしない」


 なん…だと…。

 気づいたら俺は地面に手を付いていた。

 ここまできて収穫が無し。

 いや、プラス思考でいこう。

 海を渡れば食べれる。

 そうだ、海を渡ればいいんだ。

 簡単な話じゃないか。


「船が事故にあったって、もしかして乗ることも…」

「今は無理だな。今は商人が牛耳っている。諦めるこった」


 詰みです。

 さっそく何もないじゃないか。

 くっそー!戻るのか。


「じゃあ僕の案だね!さっそく行こ!!」

「キャリアの案?何かあったっけ?」

「…ドラゴンで行く案ですよ」

「俺たちを殺す気か」


 いや待てよ。

 キャリアはこれでもドラゴンを倒したんだ。

 頼めば可能かもしれない。

 それにお米の為だ。


「よし、行こうか」

「旦那様!?」

「近くに住んでいるって聞いたから行こうか!」


 結局ここでの収穫はお金。

 十分な収穫だけど。


「どこにいるの?」

「あそこの山の頂にいるって聞いたよ」

「えっ…」

「どうしたの?」


 リリアちゃんの顔がだんだん青ざめていった。

 もしかしては言っちゃダメなのかな?

 元いた世界でも民族によって守られている山もあったし。

 もしくは獰猛な獣がいるとか?


「あの山ってよく本にも出てくるんです…」

「ってことは言われているだけだからいないってこと?」

「逆です…。確実にいますよ」

「だってさ!じゃあ行こうか!!」

「あ、おい!走るなよ!」

「うぅ…!絶対無理よ…。だってあそこには――」


*


「あと少しだな」

「そうだねー。先にご飯を食べちゃおうか」

「じゃあつくりますから外を見ていてください」


 俺たちは山の頂上付近にある洞窟にいる。

 調理中、匂いにつられて動物が襲ってきたりするらしい。

 だから俺とキャリアちゃんが見回りをすることに。

 それにしてもこの山、変なんだよなあ。

 動物のいる気配がない。


「出来ました。外の様子はどうですか?」

「なんもないよ」

「動物の足音も聞こえないねー」

「それなら一緒に食べましょう。夜ももう暗くなったのでここで休みましょうか」


 何も考えなく来たけどアールバルで泊ってくればよかったなあ。

 でもまあ泊まったらこのドラゴン肉を食べれなかっただろうし、いいか。

 それに、こういうところで寝るのも初めてだからワクワクしている。

 ただ美少女が2人いるから寝れるのか心配だけど。


「うま!コッコゴールドも旨かったけどドラゴンの肉も美味しいな」

「でしょー!だからドラゴンはいいんだよね!!」

「でもこれから会いに行くドラゴンは食べちゃダメだぞ」

「分かっているよ!!」


 何とも贅沢な食事だった。

 一日で美味しい食べ物ばっかり食べるなんて…。

 異世界はいいな!!


 食後、心配だから見張りをどうしようか話し合った。

 俺はスケルトンを出そうかと言ったら二人とも拒否。

 あれほど便利なのはそうそうないと思うんだけどなあ。

 それで結局俺が朝方まで起きていることにした。

 徹夜は慣れているからもあるけど、何よりこの状況では寝れない。

 俺の心はそこまで強くないんだ。


「誰?誰かいるの?」

「ん?」


 そろそろ朝日が昇る頃。

 洞窟の入り口のほうから声が聞こえる。

 二人とも寝ているからもちろん俺が行く。

 でもこんなところに人がいるんだな。


「いるよー」

「君は、誰?」


 また美少女の登場。

 長い青い髪をツインテールでまとめている。

 それに白い可愛いドレスまで着ている。

 どこかのお嬢さまなのかな?

 でもなんでこんなところまで。


「俺はユウジ。君は?」

「…アリア。アリアはアリアだよ」

「よろしくアリアちゃん、なにかあったの?」

「ユウジたちはなんでここに来たの?」

「ここにいるドラゴンに会いにね」

「……そうなの。一緒に行っていい?」

「構わないよ。そろそろ仲間も起きるから一緒に行こうか」

「ありがとう」


 あまり顔に感情が出てこない子だな。

 でもそれを埋めるこの可愛さ。

 ああ、この世界は美少女の世界なのか?

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