帰還勇者のVRMMO記 ~異界の力を持つトッププレイヤー~

高崎 レイ

第1話エピローグ的なプロローグ



「よくぞここまでたどり着いた。異界の勇者よ。ただ我はそう簡単に殺せると思うなよ」

「魔王を倒せば地球に帰れる。こちらもそう簡単にやられてたまるか!」

そう言い一也は剣を抜く。それに対して魔王は魔法の詠唱をする。

中衛の俺は魔法杖を構えいつでも追撃が出来る構えをする。

「先手必勝。光矢の雨。」

「ならば防ぐのみ。常闇の盾」

魔術師の光の矢を吸収する闇の盾。その効果が切れる瞬間を狙い右足の脛を狙い聖短矢を放つ。

だが・・・・

「ふん!そんなもの甘い。血の渦。」

魔王が自らの血で渦を作り上げるただ・・・

「アルケメイ。錬成。エンチャント:聖 防具錬成:足甲。」

それは俺にとって最高の得物でしかない。錬金で血を銀に。その銀をインゴット化。そして魔族の弱点である聖属性のエンチャントを施す。さらにそれを足甲に変化させる。

「ぐっ・・・。だがまだまだだ。変転。」

魔王は常時ダメージを受けながらも足甲を聖の反対宵属性に変換した。ただそれは

「ナイスだ。雷の道。」


魔術師が雷属性の魔法を足甲を狙い穿つ。血と言う液体、宵属性の追加効果の電気抵抗0により電撃の威力を数倍に増して魔王にダメ―ジを与える。

「成程。宵鉄の効果を知っていたのか。ただこれで終わると思うなよ。ダークヘヴン。」

「大罪七閃。」

魔王の魔法に七つの大罪を模して造られた剣で七連斬を繰り出す一也。

「エンチャント 筋力 知力 カースド 耐久 精神 エレメントエンチャント ウェポン 」

それを俺は付加で攻撃を底上げし自身の武器にある属性を付与する。その上ある魔法を唱える。

一撃の威力が底上げされ一也の握る神剣が七色の光を放ち魔王を斬り刻む。ただ魔王は・・

「読んでいたぞ。変転。」

俺と魔王は同時に笑った。それに気付いたのか直に真顔に戻る魔王。

「何だ?この状況で笑う余裕でも有るのか?」

「――――リザレクション、リコール、リヴァイブ、リバイブル。」

蘇生魔法などを放つ。それも全て聖属性。

「何がしたい。今の我にそれは無意味だぞ。」

確かにそうだ。変転は聖属性を無効化し魔王の魔力にする。

次の魔法を放とうと魔力を練ろうするが


「残念。魔王、お前の変転は・・・・」

と言いかけた時には全てが終わっていた?

「自分を対象に全ての効果を逆転させる。つまりは今使った技は魔王にとって即死技な訳だ。」

「成程。ただ我がその程度の事読まぬと思うか?」

魔王が片膝を立てながら聞く。それを無視して

「「「「ヒール」」」」

唱えられる勇者一同による回復魔法。それは光の神の加護により力は強まる。全てがハイヒール以上の回復量になる。

「なら変転。」

これで全て元通りの上回復。そう感じたのだろう。魔王は。そう、魔王と一也以外の仲間が。仲間が絶望した顔をしている。ただ一也と俺は違う。無表情だ。何せこの魔王の事だ。俺と一也が最初から

仕組んでいた罠に気付かないとは限らない。

「如何した?驚いたか?我の魔力量に恐怖を感じたのか?」

「まさか?おまえはもう」

そう俺が言いながら短剣で魔王を突く。そして魔王が事切れた瞬間に一也が

「・・・死んでいる。」

あの有名なセリフを紡いだ。


という夢を見たのさ。と言っても過去に経験したものなので何とも言えないが・・・・。俺は10歳の時、テンスの神隠しという事件に巻き込まれ異世界に勇者として召喚された。そして今回見たあの勝負は魔王が使う全ての効果を反転させる変転を利用し勝った。アレのネタは最初から俺と一也は魔王と戦っていなかった。ただ分身体を使い体力を削り魔王の強さのカラクリを調べていた。それにより魔王が使用していた無詠唱・MP高速回復・魔法の再発動の待機

時間短縮の陣を壊していた。ヒールの前に。

それにより回復がダメージになり回復の神の力が宿った短剣は突くたびに回復する代物の上、突かれたものの通常時最もダメージが少ない属性になるので変転では相乗効果で威力を上げた。まあ刃の一部を体内に入れておけば意味のない事だが。

ちなみに一也はスぺナッツナイフにしたらら近づく必要無いのにと言っていたが俺は金属粒子にして部屋中にばら撒けば相手が勝手に吸ってくれるので簡単に出来るだろうと感じていた。

実際、錬成などで微量ながらも粒子を出しておりそちらでもダメージを与えていたのは俺しか知らない。という回想はさておき俺、片倉亮哉の前にはVRギアが鎮座している。送り主が不明ながらも届け先は俺の名前と住所が一致していた

為開封した。なんでもACO専用に販売されたVRギアのカプセルベットタイプらしい。他にはリクライニングシートタイプやゴーグルタイプなど様々なタイプがあるらしい。なんでさっきから伝聞口調かと言うとネットの受け売りだからだ。テンスの事件で異世界に居る間にVR技術は発達し帰って来た時にはかなり高度の技術になっていた為全然ついていけそうに無いのだ。なのでネットでいろいろと調べたのだ。


それで分かった事は送られてきたVRギアは﹇ADVENTURE ANOTHER CONTINEN ONLINE﹈略名ACOというMMORPG専用のVRギアと言う事。何でもACOは全世界同一サーバーで展開しているらしく現在市販されているVRギアではちょっとした負荷や安全装置などがACOの仕様状専用の開発をせざる終えない状態だったらしい。またゴーグルサイズでも催眠誘導という意識だけをゲーム内に持ってくる事が出来、脳波の検知によりゲーム内のキャラクターを動かす仕組みになっているとの事。最近のネット怖い。などと考えていると、


「亮哉さん。お昼・・・それ何処で手に入れたの?プレミアモデル」

どうもこれはプレミアモデルらしい・・・・えっ?

「美波さん今何と仰いましたか?」

思わず敬語になってしまった。実の義妹に使うなんて

「だから!なんでACOのVRギアそれもプレミアモデルのカプセルべット型を持っているのですか?」

うん。ネットでもそう書いてあったが送られてきたのはプレミアモデルらしい。

「誰かが送って来てくれたんだよ。送り主不明だから返せないし。」

「一体誰がそんなことするの?そこは嘘でも買ったと言いましょう。」

「いや開封しただけで如何しようとは考えていないから。」

「売れませんよ、ACOのVRギアは。本社から直接送られてくるから。売ったら転売の契約違反で逮捕状が出るまで警察にいろいろしていますから。」

怖ッ。売らなくてよかった。

「じゃあ、プレイするしかないか・・・美波ちゃん使う?」

この前いろいろなゲーム雑誌を書き込んでいた気がする。なんせたまたま書店に用が在り近所のデパートに行った時に捕まった記憶がありその袋にはゲーム機などがあった気がする。俺よりも美波が使った方が良い気がする。美波を含む数人のために私立校を造ったのだし。

「是非と言いたいんところなんですけど・・・β版のテスターでリクライニングタイプのギアがあるので意味無いんですよね。」

だよな。ゲーム好きがβテスターに応募しない訳が無い。

「成程。どんな感じだった?」

「そうですね・・・。従来のMMOよりもいろいろな面で違いましたよ。NPCとプレイヤーの区別はあまり付きませんでしたし、生産もかなり自由度が高いと聞きましたし。」

「ちなみにどんなプレイスタイル?」

「私は光属性・闇属性・杖・魔力という感じの魔法使いスタイルですよ。」

「へぇ〜。でも何かイメージと違う。」

「聞きたくないんですけどどんなイメージなんですか?」

「水と風属性。」

「結局は魔法使いなんですね・・・。」

「・・・・」

「・・・・」

「そうだけど?実際魔力の波導は水がメインで風がサブに見えるから。」

「うんともすんとも言い難いコメントですね。でプレイするんですか?」

「そうしようかな。」

「というよりもお昼出来たんで食べますよ。」

そうだった。それからリビングに向かい昼食を取った。麺類じゃなくて助かった。伸びているところだから。


「ということで明日から本サービスが始まりますから。公式サイトやWikiでスキル調べておいてくださいね。それに・・・」

説明を美波に求めたら、なんとネットに丸投げである。この妹大丈夫なのか?でも美波が後衛型だから前衛の方が良いか。基本的に前中後の全てをこなせるぐらい訓練はした。

なんせ錬金・槍・剣・弓と全属性魔法。というありとあらゆるものを使った。それでも一也には負け越した。

俺が全物を操る錬金術だとすると一也は一点突破と〇距離からの砲撃。数で攻め立てる戦法の俺とは違い一也は一撃を重視する。故に互いを刺激して成長した。そう考えるとテンスの際に一也いたのはかなり助かった。

なんせ他のテンスはいろいろと面倒というかある程度脳筋しかいなかった。

という回想は長くなるから止めよう。


美波に言われた事をしておこう。Wikiや攻略サイトを巡りいろいろと調た。最後に告げられた事を踏まえそして初期スキルを決めた。さぁ明日から楽しもう。



「いよいよですね。ACO開始まで。」

「だからと言って朝の五時から起こす必要はないだろ」

翌日朝五時に文字どうり美波に叩き起こされた。いつもは6時に起き、そこからランニングや洗濯などをするのだがそれが大幅に狂った。前倒しだから悪い訳じゃないし朝の木漏れ日の中洗濯物を干すのはなかなか気持ちよかった。

あれ?何で家事を兄妹でしているの?と聞かれると義両親は海外に赴任しているからだ。俺も仕事の事を考えるとNYにいる方が良いが都合が良いのだが・・・基本的に無理である。

場所の管理が在り此処(にほん)を離れる訳にはいかない。


「・・・・・」

「何か言えよ」

「・・・・それよりも先にフレンド登録しておきましょう。向こうで会うのも簡単ですし。」

「ゲーム内じゃないと出来ないんじゃないか普通。」

「ACOだからとしか言いようがありません。」

「それは説明になるのか?」

「α・βのテスター全員そう言うと思いますよ。」

「そうか・・・」

なんか釈然としない。ゲームした事無いのに。

「分かりますよ。その気持ち。私もβの時に似た感情を抱きました

から。」

「世間話も良いがそろそろサービス開始だぞ。」

開始は12:00。今は11:50.昼食は済ませている。

「そうですね。あっ!そう言えば向こうで一緒にプレイしませんか?」

「逆にそれはこっちが望む所なんだけど良いの?」

「良いですよそのぐらい。でも女の子3人ですけど」

「そんぐらいなら(基本的にその事は気にしない)。じゃあ行きますか。」

「はい。」

部屋に戻りベットに寝転ぶ。そしてACOを起動する。

既に本人登録を済ませていたので其処ら辺の説明を流し読みPVを見て次に移る。

直後何処かで感じた意識を引っ張られる形で失う。


気付くと無機質な黒い空間に腰を掛けていた。目の前には椅子に腰かけた女の子が居た。金髪に何処かハッとさせるほどの美しさを持つ双眸。これはチュートリアルなどを担当する管理AIで名前はルチル。なんでもβ時代に管理AI人気ランキング2位らしい。


それはともかく


『ようこそADVENTURE  CONTINENT ONLINEへ。ここではアバターの製作・初期武器とスキル・チュートリアルを行うよ。分からない事があったらその都度聞いて良いから。

じゃあまず君のACOの世界での姿アバターを作って貰うよ』

すると目の前にいつもの自分と寸分違わない姿があった。

『ちなみに姿は有る程度変えていた方が良いよ。リアルでの責任は負えないから。』


確かにストーカーとか出そう。まあ姿は異世界に居た時に偽装した姿にするのであまり考えていない。蒼髪に赤と黒のオッドアイ。それ以外には手を加えない。

あまり変えすぎると現実に戻った時に感覚が狂うらしいから。

これでOKと。


『次は武器とスキルかな。これが初期スキル一覧ね。初期スキルは7つまで。ここで選ば無かったスキルはゲーム内でスキルオーブで習得できるよ』

そう差し出されたのは国語辞典くらいの大きさの本。

目次がありあるスキル例えば剣だと剣の説明と映像がある。俺は目次を見てスキ

ルを決めた。


剣・魔力・付加・錬金・鷹の目・発見・鍛冶


魔力は基本的にアーツと呼ばれる技や魔法(俺のスキル構成の場合付加がそれに当たる)を使用する時などに使用する。


『武器スキルは剣か・・・・なら木剣だね。それと一般配布アイテムを送るね。』

インベントリの中に木剣・安物の服と靴・初心者用ポーション×3

が送られた。

『じゃあ次はチュートリアルだね。』

ルチルが指パッチンをすると辺りが平原になった。

『ほいっと、そこにいる?案山子に自由に攻撃していいよ。』

その後適度にスキルの使い方や戦い方などを教わりチュートリアルをこなし終了する。

『いよいよだね。君はいろいろと面白かったよ。そしてようこそACOに。万物の勇者 リョー 僕たち世界の管理者は君の来訪を歓迎する。』

え!?

何故その名を!

気が付くと背後に教会が在り噴水がある広場に居た。噴水の淵に腰を掛け続々と出現するプレイヤーの中から俺はミィーナ(美波)を待っていた。

取り敢えず此処に居れば良いと言われたからだ。暇なのでメニューを確認する。メニューにはステータス・マップ・インベントリ・スキル・フレンド・お知らせ・メールなどがある。ステータスをチェックする。


PN リョー LV.1

武器

初心者用 木剣

装備

駆け出しの服(上下)

駆け出しの靴

アクセサリー

なし

装備スキル7/7

剣の心得 付加の心得 魔力 鷹の目 発見 鍛冶 錬金

空きスキル 0/7


どうもSTRやVITなどの異世界に居た時のステータス表示は無いらしい。

ただ公式のホームページにはステータスのパラメータの分類訳がされていた。



STR【ストレングス】(筋力)

 物理攻撃力などに影響する。

VIT【バイタリティ】(耐久力)

 物理防御力などに影響する。

INT【インテリジェンス】(知力)

 魔法攻撃力などに影響する。

MIND【マインド】(精神力)

 魔法防御力、回復魔法力などに影響する。

AGI【アジリティ】(敏捷度)

 素早さ、物理攻撃回避率に影響する。

DEX【デクステリティ】(器用度)

 命中率、生産成功確率などに影響する。

LUK【ラック】(幸運度)

 全ての確率、主にクリティカルヒット、アイテムドロップ率に影

響する。


ピロン。


メールが届いたらしい。確認すると運営からでよくある挨拶文だった。最後に何らかのスキルを予備の枠にセットしたから見ておけと言ううのに従い再び確認すると

PN リョー LV.1

武器

初心者用 木剣

装備

駆け出しの服(上下)

駆け出しの靴

アクセサリー

なし

装備スキル7/7

剣の心得 付加の心得 魔力 鷹の目 発見 鍛冶 錬金魔術

予備スキル 1/10

弓の心得


?新規スキルは一つのはずだが二つ選んでいないモノがある。

錬金魔術と弓。弓は分からなくもない。ただ錬金魔術はなんだ?俺が異世界で使っていた奴か?どうも錬金の進化ぽいけど。などと考えていると一人の小女が駆けてくる。あの姿は・・・・

「リョーさん。済みません、送れました。」

先程まで一緒にくつろいでいた美波いやこの世界ではミィーナと呼ぶべきか髪は水色目は紫という奇抜なセンスだがそれ以外は見間違いなく美波だった。

「別にいいんだが。」

「じゃあ行きますか?」

「・・・・何処に?」

「取り敢えず私の仲間が居る所に。」

「分かった」

案内されたのは弧洒落た喫茶店でミィーナの姿を見た二人の美少女が手を振ってきたのでミィーナがそれに応じて手を振る。


「初めましてリョーさん。私はアイと申します。得物は今は槍ですがβテストでは薙刀を使用しておりました。これからお願いします。」

何とも堅い挨拶だな。この子は本当にミィーナと同い年なのか?全然違うのだけど雰囲気とか立ち振る舞いとか。

「私はティア。全属性をメインに魔法使いを務めています。」

今度は簡素に必要最低限な情報しか告げなかった。商人の家の子かな?取引と言うのはいかに自分の手札を明かさないかが重要だし。

「俺はリョー。武器は剣と魔法は付加のスキルを選択した」

俺はこの二人と(ミィーナを含めれば3人)はどのくらい長く組むかは分からなかったからあまり多くは話さなかったが二人の興味は別のところにあるらしい。

「リョーさん。初ログインボーナススキルは何でしたか?」

とティアが聞いてきた。君たちのは?と聞くとβテスターは自分のスキルを引き継ぐかボーナスかを選べるらしく皆引き継ぎを選んだらしい。

「錬金魔術と弓。」

「二つもですか・・・・。」

「錬金魔術て無かったよね?」

「ええ有りませんでした。にして不遇の弓だから適当に新スキルでもやるかという感じですね。」

うん?今聞き捨てならん事が聞こえたんだが。

「弓が不遇?」

「矢が必要不可欠なうえに命中率が悪いんですよ。」

それで緊急クエストの時に矢を使い果たし木偶の坊と化して他のプレイヤーから不信をかったらしい。

「成程。というかもともと錬金も有ったんだけどな。」

「錬金魔術が錬金の上位スキルだとするとますます謎ですね。」

「どうでも良いけどな。にして案外バランス悪くないか?前衛一と後衛二は。」

「そうでもないですよ。ヘイトを魔法職で奪いあうだけなので。」

「成程。そんな戦い方もあるのか。」

テンスの勇者の場合は遠距離職が敵視認距離ぎりぎりからズドンで混乱している時に前衛職で襲うが基本だったからな。

「お陰でヘイト管理が楽でした。」

とアイが呟く。確かにヘイト・・・敵対心の事だがは基本前衛が集め攻撃を食らう。後衛職はVITやMINDなどの数値が低く簡単にHPを削られてしまうからだ。

「そろそろ行こう。」

ミィーナの言葉に

「「おう」」

と二人が応じる。ここ女の子だけのパーティーだよね。なんでこんな運動部みたいなノリなの?

「ぐぎゃあ。」

モンスターのうめき声が聞こえる。

今俺が斬ったモンスターだろう。モンスターを斬る感触は異世界に居た時そのままを忠実に再現しており嫌いな人はかなり酷いだろうなと場違いな考えが浮ぶ。まあ死=現実での死では無いので多少考え事をしても何とかなるのだが。

「ファイヤ」

「ライト」

ティアとミィーナが放つ魔法が狼に襲いかかりポリゴン体になって消える。成程モンスター(以下モブと呼ぶ)を倒すとこういう風になるのか。

インベントリを確認すると魔狼の牙や魔狼の皮と言ったドロップアイテムが収納されていた。とアイとティアから不思議そうな視線が注がれていた。

「良いですね。本当にゲーム初心者何ですか?」

多分動きが素人のようでは無かったのだろう。確かにバックステップの取り方や剣の使い方が常人以上になれているのは仕方ない事なんだけど。

「そうだけど。伯父が古流の武道家で一時期教わっていたんだよ」

(剣聖のじぃちゃんは古流だと言ってたし)

「そうですか?何か斬る事に逃避感が無いというか慣れているというか」

「修行していた山にイノシシやヘビが沢山居たんだよ。」

(調教師がテイムした犬に蛇だけどな。)

「それでですか。」

「データはデータと割り切っている事もあるかもしれん」

「いろいろと大物ですね。でも何かこのゲームって肉のつき方とか斬った感じとか妙に現実ぽいし。」

「そうでもないさ。それより来るぞ。」

俺も何か生々しいと思うがアイが槍でちょっと敵を掠らせヘイトを集めモンスターを引き連れてくる。

「サンダー」

「ポイズン」

魔法職二人がモンスターに向け最初に覚える魔法を発動する。その

音にまぎれモンスターに近づく。裏を取ったところで剣を取りだし

構える。

「エンチャント STR AGI」

エンチャントは二重でかけるとMPが直に底を尽きる。剣を水平に振りモンスターを横薙ぎに振り払う。ノックバックとかは無いのかその場に留まる。

「MPが回復しました。下がってください。」

「OK。取り敢えず スラッシュ」

剣の心得のアーツ スラッシュを放ち後退する。即座に

「ライト」

「ボム」

「ウィンドブレス」

初級魔法が次々とモンスターの群れに吸い込まれていく。

「ティア ミィーナ避けて。」

とっさにアイが叫んだ。

見ると金色のイノシシが「ゴールドボア」なるモンスターが突進している。魔法職二人めがけて。どうも先程の魔法の乱れ撃ちがヘイトを稼いだらしい。今の防御力じゃ耐えれない。そう判断した俺は昨日ミィーナから聞き半信半疑のある賭けに出る。右手を前に出す。

「リョーさん何を?」

イメージOK。発動過程はいつもどうり。

「:フレイミングスピア(爆散する槍)」

あたりに轟音が響き周囲が燃え盛る。それをティアが魔法で消してくれる。結論から言うと成功みたいだ。

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