326話 ノエル女王の後悔
◇ノエル・アルテナ・ハイランドの回想◇
大陸最大の国家、
大魔王の復活とそれに向けた軍の増強。
大陸七国の盟主として、各国間の調整。
そして、対大魔王戦に備える大結界の構築。
どれも大変でした。
でも、そのかいあって大魔王を打ち倒すことができました。
そして、救世主アベル様の生まれ変わりと言われる二代目光の勇者であり、私の夫でもあるリョウスケさんとの結婚。
多分、あの時が私の人生で一番輝いていたのではないかと思います。
しかし、私は失敗しました。
大魔王は倒せても、その力を引き継いだ厄災の魔女は倒せていなかった。
私が大魔王の攻撃を防ぐために用意した大結界は、厄災の魔女に利用されてしまった。
世界は魔女のかけた呪いにより、全ての人々が魅了されていた。
抗おうにも、私が地下に囚えられている間に太陽の国の人々は既に魔女の手の中。
もう……、無理。
そう諦めかけていた時、私と同じく魅了されていなかった高月マコト様によって助けられました。
そして大陸から距離がある魔女の呪いが届いていない離れ小島まで逃してくれた。
それから私は目まぐるしく助けを求め、色々なところに連絡しました。
結果は……、決して良いものではなかったが。
私と周りの人々も、日に日に暗い顔になっていった。
絶望で無気力になる人もいた。
それでも、マコト様だけは変わらず海底神殿の攻略を続けていた。
その顔は、悲観していなかった。
ここに居る誰よりも、前を向いているように見えた。
……あぁ、リョウスケさんの言った通りだ。
高月マコト様は、どんな時にも諦めない。
この人が味方で側に居てくれてよかった。
私一人だけでは、きっと心が折れていた。
もし、この世界を救う手立てが見つからず厄災の魔女の手に落ちたら。
私はきっと囚えられ、再び地下に幽閉されるか、いずれ殺されるだろう。
だけど、厄災の魔女の依代である『
なのにずっと私たちに付き合ってくれる。
なら、私も最後まで抗ってみよう、と心に決めた。
どうにもならないかもしれないけど、世界の果てまで逃げてでも最後まで逃げてやる、と思っていた。
しかし…………。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!
「はっ!?」
低音の爆音。
何か巨大なモノ同士がぶつかるような音と、空気の震えによって気を失っていた私は目を覚ました。
「ニャル様? 今の音は?」
「あぁ、落下してきた月を神獣リヴァイアサンが、顔面で受け止めたんだろうね」
「良かった。無事にキャッチしてくれたんですね」
「フフ……、急に月が落ちてきてリヴァイアサンもきっと混乱しているだろうね」
「でも、そしたら急がないとマズイですよね?」
「ん? 僕がしばらくは月の軌道をめちゃくちゃになるように魔法をかけたから、しばらくは時間が稼げるよ」
「おー、流石はニャル様」
「ふふふー、そうだろう、もっと褒めてくれていいよ」
マコト様の世間話のような言葉に、私の口から意図せぬ言葉が飛び出る。
話しているのは、私の身体に降臨した
会話の内容がぶっ飛びすぎて、ちっとも頭に入ってこないんですが。
「……すいません、また気を失っていました」
私はフラフラする頭をかかえ詫びる。
「大丈夫ですか? ノエル様」
マコト様が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「はい……」
と答えたものの、未だに夢の中にいるような心地だ。
私が気を失った原因は……。
「高月マコトよ! この鎧は素晴らしいな! カインはこんな神器を着込んでいたのか!」
うきうきとした顔の大男――古竜の王の声がした。
「貸すだけだからな、あとノア様に御礼を言っておいてくれよ」
「うむ! その通りだな! 女神ノア様には感謝しよう!」
マコト様と……彼は魔王アシュタロトなのですよね?
随分と親しげな様子ですが。
「マコト様、私はどれくらい気を失っていましたか?」
「ほんの一分くらいですよ。ちょうど、古竜の王にカインの鎧を渡した所です。一緒に海底神殿攻略を手伝ってくれるみたいで」
あっけらかんとそんなことを言う。
「あ、あの……、アレに挑むのですか……」
私は震える声で、海上から突き出る巨大な壁のような何かを指差した。
それはかつて南の大陸で見た天まで続く『天頂の塔』のように雲を貫き、さらにその横幅は巨大過ぎて端が見えない。
しかも…………恐ろしいことに、その巨大な壁はゆっくりとではあるが
――神獣リヴァイアサン
神話でしか聞いたことがない伝説の存在だった。
「ニャル様がせっかく作ってくださった貴重な機会は無駄にできませんからね」
何の疑問も持っていない顔で、マコト様は答えた。
「そ、そうです……か」
としか私は言葉を発せなかっった。
「ところでノエル女王にお願いがありまして。海底神殿攻略に関することなんですけど」
「……え?」
びくり、と身体が震えた。
つい先日、マコト様と一緒に『
マコト様が、海底神殿を攻略する目的。
それは女神ノア様の封印を解き、厄災の魔女の呪いから世界を救うためだ。
その手伝いができるなら、何でもするつもりでいた。
(……けど)
私は、あらためて周りを見回す。
落下している月。
地上へ現れた神獣。
そして、目の前に居る最強の魔王。
(い、一体何をお願いされるのでしょうか……?)
空恐ろしくなった。
「わ、わたくしにできることでしたら……」
「助かります、ノエル様。そろそろディーアが帰ってくると思いますから」
「は、はぁ……」
ディーアさんというのは、マコト様とよく話している水の大精霊の名前だ。
「我が王、戻りました」
「おかえり、ディーア。首尾はどう?」
「こちらに。みんな喜んで来てくれました」
――スン
と周囲の温度が下がった気がした。
そして、その原因に気づく。
「ひっ!」
悲鳴を上げて、気を失わなかった自分を褒めたい。
きっと神獣や魔王を間近で見たおかげだろう。
全然嬉しくないが。
「みんなー、来てくれてありがとう!」
マコト様が笑顔で叫ぶその先には――――見渡す限り、島を埋め尽くすほどの数の水の大精霊たちが集まっていた。
その人数は…………太陽の国の全軍が集結した時と同じくらいの数、百万にも達しているように見えた。
「随分とかき集めたな。この星の水の大精霊全て……いや違うな。高月マコトよ、この大精霊たちはどこから呼び出した?」
古竜の王が、マコト様に尋ねた。
「近隣の星々からだよ。この星一つじゃ、リヴァイアサンの相手には足りなそうだからね」
「無茶苦茶をするな……、見ろこんな数の水の大精霊を呼ぶから海が荒れ狂ってるぞ」
さらりととんでもないことを言うマコト様の言葉と、魔王の呆れたような声で海の方を見ると、そこには見たこともないほどの高波で荒れる海が広がっていた。
「でもこの数でも足りるかどうかなんだよなぁ……、ディーア。まだこれからも増えるんだろう?」
「はい、我が王。続々とこの星に水の大精霊たちが集まっています。女神ノア様をお救いするため、という呼びかけならどこからでも精霊たちはかけつけますから」
「はははは! いいねぇ、騎士くん! どんどん増やそうぜ!」
私の口からナイア様が楽しそうに語る。
「それにしても……」
古竜の王が、少し不機嫌な声でつぶやいた。
「魔王とこれほどの数の水の大精霊が居るにもかかわらず、神獣リヴァイアサンはこちらを気にもしないのか……」
「こっちを見てないだけで、俺たちには気づいているよ」
古竜の王の言葉に、マコト様が答えた。
私は空を見上げた。
……目眩がしました。
いつの間にか雲が晴れ、神獣リヴァイアサンの頭部とそれに接触している月が見えました。
この世の終わりのような光景です。
さらにこの島には、続々と水の大精霊が集まってきている。
空は晴れているのに、海は嵐のように荒れている。
そのうちこの島が波に飲み込まれてしまうのではないかという恐怖を覚えました。
「ノエル様」
「は、はい!」
マコト様が真剣な声で話しかけてきた。
「聖女のスキルである『勝利の行軍歌』を使ってもらえませんか?」
「それは……、マコト様に、ですか?」
私が聖女と成った時に得たスキル――『勝利の行軍歌』。
これは、太陽の女神様の加護によって一時的に味方の体力や魔力を大幅にアップする補助魔法だ。
それだけ聞くとそれほど強いスキルには思えないかもしれない。
だが、通常の補助魔法と違い『勝利の行軍歌』には
そのため、太陽の国の全軍にかけることもできる、という利点があった。
しかし……
「『勝利の行軍歌』は、多人数にかけて真価を発揮する魔法です。マコト様、お一人にかけても……」
「大丈夫ですよ。俺を
「そ、そんなことができるのですか!?」
私は驚いて大声を上げた。
「そういえば千年前にそんなことをやっていたな……、忌々しい記憶を思い出した」
「アンナさんも同じスキルを使えたからね」
古竜の王とマコト様の会話で、どうやら過去にやったことがあるのだと知りました。
しかも、あの伝説の聖女であるアンナ様が行っていた方法らしい。
「では、マコト様にスキルを使いますね……」
私はマコト様の手を握った。
――太陽魔法・勝利の行軍歌
私が祈るように魔法を発動させると、マコト様の身体を白い光が包む。
次の瞬間、息が止まるほどの暴力的な魔力が、発生した。
島を取り囲むように集まっている水の大精霊たちが、光り輝く。
ただでさえ一人一人がとてつもない魔力を持っている大精霊が、さらに魔力を増す。
確かに勝利の行軍歌の効果が、水の大精霊たちにかかっている。
「なかなかやりますね。アンナよりも強力ではないですか? 我が王」
「みたいだね。ノエル様の魔法のほうが上昇効果が高い」
「そ、そうなんですか?」
当然のようにアンナ様より私が劣っていると考えたため、驚いた。
「アンナさんは勇者スキルを鍛えてましたからね。聖女の能力は苦手だったみたいですよ。ノエル様は聖女一本なので、効果が高いですね」
「恐れ多いです……」
そんな雑談をしていた時。
――ズシン
と身体が急に重くなった。
「っ!?」
突然、呼吸ができなくなるほどの
「おやおやおや、ノエルちゃん大丈夫かい?」
月の女神様に声をかけられると、ふわっと身体が軽くなった。
一体、何が……と思って周りを見回すと古竜の王が顔をしかめ、水の大精霊たちも膝をついている者が多数居た。
何事も無い様子なのは、マコト様だけだ。
そのマコト様は、ぼんやりと空を見上げていた。
「あちゃあ、……こっち見てるなぁ」
マコト様がつぶやく。
一体、何が……、と考えるまでもなかった。
――神獣リヴァイアサンの巨大な眼が、こちらを見下ろしていた。
「…………っ!」
足が震え、立っていられない。
……ただ、見られているだけなのに。
「よかったな、古竜の王。リヴァイアサンがこっちを気にしてるぞ」
マコトさんだけは、普段と変わりない様子で会話している。
だんだん、私は彼が恐ろしくなってきました。
「……視線を向けられただけで、恐怖を覚えたのは初めてだ。得難い経験だな」
魔王アシュタロトも不敵に笑っているが、その顔には冷や汗が流れていた。
「流石はノエル様の魔法ですね。水の大精霊たちが大きく強化された」
マコト様は、楽しそうに水の大精霊たちの大軍勢を眺めています。
「しかし、この惑星に過剰な精霊が集まってしまった。このままだとこの島が沈んでしまうし、他の大陸にまで影響がでるんじゃないかな」
この言葉を発したのは私の口だけど、言葉の主は月の女神様だ。
あらためて海を見ると、波がハイランド城以上の高さになっている。
今、船を出すと瞬きしている間に波に飲まれて海の藻屑になるでしょう。
「それは困ったな……」
「我が王、何人かの姉妹に、海を収めるように指示をだしましょうか?」
「それしかないか。できれば戦力は分散したくないけど」
マコト様とディーアさんの会話を私はぼんやりと聞いていた。
――少年よ、海の管理は我が行おう
「え?」
気がつくと、私たちの近くに七色の巨人が立っていた。
一見、魔物である人食い巨人のように見えてるが、その身体から発する威圧感が桁違いだ。
神聖な雰囲気すらあった。
……この巨人は、一体?
「ほう……、これはこれは神界戦争の負け犬のタイタン族がこんなところをうろうろしているとは、驚きだね」
最初に反応したのは月の女神様だった。
七色の巨人が、私のほうを見下ろす。
「貴女は……、ナイア様ですか? 地上に降臨されるとは珍しいですな」
「ふふふ……こんな面白い見世物を特等席で見ない理由はないだろう?」
「なるほど……、相変わらず貴女は面白そうなことには目がありませんな。神獣リヴァイアサンが地上に現れ、水の大精霊たちがこの星に集まっている……、何事かと慌てやってきてみれば、ノアお嬢様の使徒の少年の仕業であったか」
そう言って、巨人はマコト様に視線を向けた。
「巨神族のおっちゃん、久しぶりですね」
「会ったのはつい最近だと思っていたがな……。我はノアお嬢様を救う計画を数万年かけていたが、まさかわずか数年でこのようなことをしでかすとは……」
「それより海の管理をしてくれる、というのは本当ですか?」
「あぁ……、本来なら神族の我が地上に手を出してはいかんが、このままリヴァイアサンと水の大精霊たちがぶつかればこのあたり一帯の島々は全て海に飲まれてしまうだろう。それを聖神族もよしとは思うまい。余分な命が奪われぬよう、我が手を貸そう」
「助かります」
「少年にはノアお嬢様を助けることに注力してもらいたいからな。……しかし、勝算はあるのか? リヴァイアサンとの戦闘に関しては我は手伝えぬぞ」
「わかってますよ。そっちに集中できるなら、それだけでもありがたい」
そう言うマコト様は、恐ろしい威圧感を放つ七色の巨人とも対等に話していた。
「あの……マコト様? この巨人の方はお知り合いですか?」
「あぁ、すいませんノエル様。こちらは女神ノア様の眷属で、確かギガントマキアっていう神界戦争で聖神族に1500万年くらい封印されてたところを、最近目覚めた巨神族のおっちゃんです。……名前って教えてもらいましたっけ?」
「名乗っておらぬし、知らぬほうが良い。我は忘れられた神だ」
「…………か、神……さま?」
私の声がかすれる。
1500万年といえば、神話では最後の神界戦争が起きたとされる時代。
普段なら、そんなのは冗談と笑っているところですが、今の状況では常識的な考えのほうが間違っている気がします。
そもそも冗談を言うような場面ではない。
つまり……、目の前にいるのは神話時代に敗北した神様ということでしょうか。
駄目です。
頭が爆発しそうです。
……話についていけそうにありません。
「そろそろ、向かうか?」
古竜の王が、マコト様に問いかける。
「そうだね、行こうかディーア」
「えぇ……、しかし」
水の大精霊さんが、ちらりと私を見る。
えっと、私に言いたいことがあるのでしょうか。
「何でしょう? ディーアさん」
「水の大精霊たちは、まだ集まっている途中です。できれば『勝利の行軍歌』をかけ続けてほしいのですが、難しいですか?」
そう言われ、一瞬内容が理解できなかった。
私の聖女としての能力である『勝利の行軍歌』は、直接水の大精霊には使えません。
効果を発揮するには、マコト様を
「わ、私もマコト様と一緒にリヴァイアサンに立ち向かえと!?」
声が裏返った。
そして、空を見上げる。
ハイランド城より巨大な、リヴァイアサンの眼球がこちらを静かに見下ろしている。
あ、あれに私も挑むのですか……?
「わ、私は……」
「おい、ディーア。無茶を言うなよ。女王様だぞ」
「水の大精霊よ、それは難しいのではないか?」
私が答える前に、マコト様と古竜の王がディーアさんの意見を否定した。
魔王に心配されてしまいました。
「そうですか……、すいません。愚言でした」
ディーアさんがしょぼんと頷く。
「いいって、心配して提案してくれたんだろ?」
マコト様が、水の大精霊さんの頭をぽんぽんと手を載せている。
マコト様は、私をこの島に置いて行ってしまうようだ。
海は大荒れだが、それはこちらの巨大な神様が島を守ってくれるらしい。
だから、私はここで見守っていることもできるのだけど……。
マコト様は厄災の魔女に呪われた世界をなんとかするために、リヴァイアサンに挑むのだ。
世界に残った最後の勇者として。
聖女である私は、それを遠くから見ているだけで本当にいいのでしょうか?
千年前にアンナ様は、マコト様と一緒に戦ったと聞いています。
そして、私の使う『勝利の行軍歌』はアンナ様のものより強力らしい。
なら、一緒に行ってその魔法を使い続けたほうがマコト様の力になるはずです。
「あのっ!」
思わず口から声が出ていた。
「わ、私も一緒に行きます!」
その言葉に、マコト様が目を丸くする。
「……アレに挑むんですけど? 大丈夫ですか?」
マコト様が見上げる先は、勿論地上に落ちそうになっている月とそれを支えるリヴァイアサン。
……何度見ても、この世の光景とは思えません。
「が、がんばります」
震える声で私は答えた。
マコト様は、困った顔で顔を掻いている。
「まあ、良いではないか。本人が来ると言っているのだ。我に乗るがいい」
そう言うや古竜の王が巨大な黒竜の姿に変わる。
驚いたことに、着ている黒い鎧は竜の姿に合わせて形を変えた。
あれが女神様の神器なのですね……。
「じゃあ、行きましょうか。途中下車はできませんよ?」
悪戯っぽい顔で、マコト様が私の手を引いくれ、私は古竜の王の背に乗った。
「少年、ノアお嬢様を頼む」
「任せてください」
マコト様は、巨神族のかたに笑顔で答えました。
「では、向かうぞ!」
そう言うや、古竜の王が一気に上昇する。
加速で一瞬、息苦しくなる。
あっという間に、地面が遠くなった。
それでもあまりにも巨大なリヴァイアサンの身体は、壁のように上へと伸びている。
古竜の王は、上昇を続ける。
百万の水の大精霊さんたちが、それに続く。
これから戦争が始まるかのような光景。
いえ、これは戦争よりも困難な、神様への試練でした。
「高月マコトよ、それで作戦はあるのか?」
古竜の王が尋ねてきました。
私も気になります。
ソフィアさんが、病的に慎重だと言っていたマコト様のことですからきっと綿密な作戦が……。
「ん? あそこに見える海底神殿に向かって
「「…………」」
聞き違いでしょうか?
マコト様は、特攻すると言った気がしたのですが……。
「勿論、水の大精霊たちにも頑張ってもらうけど。どうせノア様の封印を解くには、信者の俺が海底神殿にたどり着かないといけないからね。これからリヴァイアサンの気をそらすから、俺が言うタイミングで海底神殿に突っ込んで欲しい、古竜の王」
「…………承知した。娘が高月マコトはたまに頭が狂っていると言っていたが、こういうことか」
「失礼な」
私はマコト様と古竜の王との会話を聞きながら、目眩がしそうになりました。
勢いで一緒に来てしまいましたが……、本当に良かったんでしょうか?
……
その声は届かないと知りつつ、私は女神様に祈るしかできなかった。
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