2001年7月22日(日)

 やっと少し、落ち着いてきた。

 だけどいまでも、心が震える。


 恐ろしい。

 まさか若菜が死ぬなんて。殺されるなんて。おぞましい。


 それも、あれはなんだったのか。

 指が、天井から吊るされていた。

 それを見た瞬間、キキラが「指風鈴」って言ったけれど、絶妙な表現だった。


 若菜が、どうして殺されなければならなかったのか。

 さらに、指を切断されて吊るされた理由はなんなのか?

 怨恨? 狂気? それとも他のなにか合理的な理由が?




 警察はもちろん捜査しているそうだけど、犯人を見つけ出せるのかしら。

 過去3回の殺人事件を、解決できなかった警察が。


 探偵を気取るわけではないけれど。

 私自身も、自分なりに推理・行動したい。

 親友の、若菜の無念を晴らすために。




 先日、通夜と葬儀で安愚楽くんと会ったとき、彼と連絡先を交換しておいた。

 彼とは、同じ事件の関係者である以上、連絡を取り合うこともあるだろうから。

 長谷川くんとは元々連絡先を交換していたから、そちらについては、そのままでいいと思う。


 それにしても長谷川くんは憔悴しきっていた。

 顔が真っ青。無理もないけれど。私だっていま、自分でも分かるほど血の気が引いているもの。




 若菜。

 あなたを殺したのは誰よ……?




(筆者注・全体的に、字体が乱れ、震えている)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る