2001年7月14日(土)

 今日は少しナーバス。


 明日、みんなで海に行くと決まったから、私は電車を使って姪浜に赴いた。

 新しい水着を買うためだったのだけど。……私はそこで見てしまった。


 天ヶ瀬くんと若菜が、ふたりで楽しげに歩いているのを。

 カフェに入っていくのを。




 デート、かしら。




 分かっている。

 あのふたりは幼馴染。

 いつも一緒にいる。天ヶ瀬くんはなにかあったら「若菜、若菜」だし。

 若菜は若菜で、なにかあったら「佑ちゃん、佑ちゃん」って言うの。




 両想いなのが、丸分かりじゃない。




 そんなこと、ずっと分かっている。知っている。気付いている。

 だけどそれでも私の気持ちは変わらない。天ヶ瀬くんのほうばかり向いている。

 いつかは、いつかはこの私のほうを向いてほしいって、愛してほしいって思っている。

 だけど、やっぱり、天ヶ瀬くんは、若菜のほうが……。


 悲しいのは、私は若菜のことも大事だということ。

 彼女はとても明るくて、純粋で、心優しい子。私にとって大事な友達。

 だから若菜になら、天ヶ瀬くんを取られても、耐えられる――


 耐えられるだろうか。

 いまこうして、日記を書きながら震えている私が。

 彼と若菜がキスをしていると想像するだけで、泣けてくるほど絶望している私が。




 今日は、もう寝よう。

 自分を慰める気にもならない……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る