カベ 〜最後の5分間〜 祭りは終わらない。
齋藤 龍彦
第1話【俺は能力者土岐源治】
俺の名は土岐源治、能力者だ。俺の
俺はこの能力を世に役立てるために先輩と一緒に『事ム所』を開いている。間違ってもエロ方面に使うことはない。どう使うかといえば例えばだ、誰かが車にはねられそうになったその瞬間に時間を止められたなら——
時間を止めることで避けられる悲劇がある、そう俺は確信している。
時間を止めて、俺まで止まってしまったら論外だ。その目的は達成できない。俺が時間を止めても俺が止まることはない。そして俺が触れた人間に限りその人間を俺の世界、時間の止まった世界に巻き込むことが出来る。つまりそれが専ら先輩となる。
なに? この話しどこかで聞いたことがあるって? 偶然だろう。それは物語の中のお話しであり、そして俺の能力の方がそれより数段凄い。なにしろいつまでだって時間を止め続けることが出来る。
ただこの能力、使うほど高い代償を支払わされる。俺以外の時間が止まり、俺だけに時間が流れる。するとどうなるか? 誰でも簡単に想像がつく。
そう、俺だけが老けていく。実年齢以上の速さで。
この能力を使えば使うほど俺は老化していく。エロのために多用して老人化するなど論外なのだ。そこは能力を使わずになんとかすべきだろう。だが悲劇を避けるため、という目的の前にはそんな代償を支払うことを躊躇する俺ではない。
「オイ源治、なに自分の世界に入り込んでんだ⁉」
先輩の怒鳴り声が俺の耳に飛び込んできた。
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