4-7 決勝戦 その1 おもわぬ参戦

試合終了後、シャーロットとクリスティーナは、カレンのもとに来た。


「どう?カレン調子よくなった?」

「残念ながらリンダはお帰りになったわ。私たちに負けてね。」

「うう・・・ありがとう。」

「とにかく、いったん医務室に行こう。」


僕たち【キューティーナイト】は、カレンを連れて医務室に向かった。

医務室では、治療士が待機しており、シャーロットの傷を回復してもらった。


カレンは医務室のベッドに寝かせることにする。


「今の状態では、試合は無理だな。」

「そうですわね。決勝戦は私とクリスティーナの2人で戦うわ。」

「そうですね。先ほどの試合と一緒で、何とかなります。」


僕は何も言えない。先ほどの試合で闘技場に上ったため、シャーロットとクリスティーナの戦闘が出来る2人を出場させると、次の試合は僕は規定上出ることが出来ない。


「そろそろ、決勝戦が始まるわね。」

「そうですね。行きましょう。」


僕たちは、カレンを医務室に残し、治療士に任せて闘技場に向かった。ちょうど前の試合が終わり、会場が湧いていた。クリスティーナは更衣室に置いていた代わりのローブに着替え、すでに一緒にいる。


「では、今年の決勝戦を始めます。」


アナウンスがあった。会場は一段と湧いた。


「ここまで勝ち上がった、2つのチームは、どちらも素晴らしい戦いをしてきました。これから決勝を行い、勝ったチームが、国別代表戦となります。どちらが勝つかは今からの試合で決まりますが、皆さん、応援をお願いいたします!」

「ついにここまで来ましたわね。」

「カレンがいないのは残念だけど、気が付いたカレンに優勝のお土産を持っていきましょう。」


そう言って、2人は闘技場に向かった。クリスティーナはすでに目薬を点ししている。


僕は二人を見送った。


「君たち、2人で対戦するのか?」

「そうですわ。2人で十分ですわ。」

「そうか。君たちがそう言うのであれば、問題ないが。」


相手選手と向き合った。


「では、決勝を行います。東がチーム名:スピードスター、西がチーム名:キューティーナイトです」


会場が大きくわいた。


すると、後ろから声が聞こえた。


「待ってください、私が最後の1人です!」


僕は振り向いた。何とそこに、カレンが立っていた。


「私が3人目です。私も戦います。」

「無理だカレン、休んでいるんだ!」

「エリックさん、それはダメです。私はこのチームのメンバーなのです。」

「しかし・・・」

「大丈夫です。ここで引いたら、たとえ勝ったとしても、自分は負けです。それはダメなのです。」


僕は初めて見たカレンの気迫に押されている。


「カレン殿、これでたすき掛けをしてください!」


突然、隣に見知らぬ男が立っていた。


「あなたはだれ?」

「私は、ハチベエです。」

「えぇ?ハチベエなの?」

「そうです。私は人間に化けることが出来るのです。」


知らなかった。そういうことは先に言っておいてくれ。


「ヤポンでは、古来よりたすき掛けで肩を紐で締めることにより、気合が入ると言われています。」

「そ、そうなんですか?」

「気休めかもしれませんが、やらないよりましかと。」

「ありがとう、ハチベエ。お願いします。」


ハチベエは、カレンの後ろに回り、持ってきた紐でたすき掛けをした。


「ハチベエ、お前意外と気が利くじゃないか?」

「まあ、私の主人が困っていましたので。」


ちょっと待て、主従契約しているのは僕だっての。


「出来ました。私にできることはこれくらいですが・・・頑張って下さい」

「なんだか元気が出てきました。ありがとうハチベエ。頑張ります。」


カレンは胸の前に両手を出し、握りこぶしのポーズを決める。


「早く来なさい。失格にしますよ。」

「カレン、行きます!」


カレンは台に上り、シャーロットとカレンがいる場所に向かった。


「カレン、この決勝が最後だから、泣き言は無しですわよ。」

「攻撃は任せて。治療だけに専念して。」

「うん、わかった!」


「では、試合を開始します。」


開始のベルが鳴った。

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