3-6 代表戦前練習 その4

パトリシアはマリリンを呼び戻した


「あら、もう会いたくなったの?私が必要だって叫んでたらしいじゃない?可愛いわね!」

「叫んでません!」


それとクリスティーナ、あなたもキモいものを見るような目はやめてくれ!


僕は、訓練の件をマリリンに話した。


「なるほど、実戦に近い練習をしたいということね。そこで、私が使う【ファントムドール】てそれをやりたいってことね。私のドールは自由に動くからね。それと複数使えるしね。」

「それで、剣士のシャーロットと魔法師のクリスティーナそれぞれの対戦相手を作ってほしい。そして、その対戦相手は、弱すぎず、強すぎずのちょうど良いレベルにしてほしい。」

「分かったわ。日が落ちるまでは暇なのでOKよ。私の大切な旦那様のお願いですし。今夜はどうです?旦那様!」

「余計なことは言わないでください!」

「あはっ、顔が赤い!からかうと面白いわね。」

「マリリンが言うと、冗談に聞こえないんです。」

「いや~本当に今日は楽しい事ばっかりだわ!」


僕は疲れることばっかりだ。


「でも、丁度良いレベルというのが、私は良くわからないのだけど。」

「それについては、パトリシアとタッグを組んでほしい。」

「マリリン殿、私がサポートいたします。」

「あら、パトリシアちゃん、よろしくね。昔を思い出すわね。」

「マリリン殿、それは私ではなく、ペガサスの方では?」

「あれ、そうだっかしら?ユニコーンもまんざらではなかったわよ。」

「・・・」


何か昔色々あったようだ。


「えーっと、とにかく、始めますわよ!私とクリスティーナに対戦相手を用意してもらい、実戦形式でやる。それで良いですわね?」

シャーロットは相変わらず誰に対しても上から目線だ。

「じゃあ、私たちはあっちの方で練習しますから、カレンのことは宜しくね、だ・ん・な・さ・ま!」

「いててて!」

シャーロットが僕の腕の皮膚をねじった。とっても痛い。そのシャーロットの顔を見ると、とても怖い顔をしていた。僕何かしたか?


シャーロットとクリスティーナは何とかなった。次はカレンだ。


使えなかった忍術は一旦諦めて、治療士としての実戦対応が出来るように、まずは傷の恐怖を和らげる対応を進めることにした。ここで先ほど覚えた【ファントムドール】が役に立つ。


「私はどのような練習をすればよいでしょうか?」

「カレンは、まず血に慣れることから始めようと思っている。」

「はい、私もそう思います。」

「そこで、今から僕がドールを使って、幻でケガを再現させるから、それにだんだんと慣れるようにしよう。」

「分かりました。お願いします。」

「ではまずここから。」


僕は自分の腕に打撲のアザを再現させた。


「どう?」

「全く大丈夫です。」


次は腕の骨折。血は無い。


「大丈夫です。見た目がこわいって思うだけです。」


じゃあ、これは?

両足があり得ないの方向に曲がっている。同じく血はない。


「大丈夫です。」


なるほど、血がないと大ケガは大丈夫ってことか。


「では、これ。」

「きゃっ、怖い!」


肘から血がにじみ出ている幻だ。これは駄目か。


「これは?」

「怖いけど、薄目で何とか。」


指先の切り傷で血はちょっと出ているだけだ。


「なるほど、ちょっとでも血があると、反応してしまうってことか。」

「スミマセン。。。」

「ま、分かっていたことだから。これからちょっとずつ慣れていこう。」

「私のために・・・いつもありがとうございます。そしてよろしくお願いします。」


カレンは相変わらず素直な心だな。ただ、こういうのは時間がかかるので、急がず焦らずで進めないと。


「では、この小さい切り傷を両目で見れるように、徐々に直視して行こうか」

「はい、やってい見ます。・・・とても怖いです。でも・・・何とか。」

「じゃあ、そこに手を当てて、治療魔法を使ってみよう。」

「はい・・・何とか自分で見ながらできました。あ~怖かったです。」

「よく出来たよ。こうやって少しずつ進めようか。」

「はい、がんばります!」


カレンは胸の前に両手を持っていき、握りこぶしを作った。このポーズはとてもかわいい。


「それにしてもあなたたち、端から見てると、マニアックなプレイをしているように見えるわね。」


はなえがボソッと言った。それ、気づいていたから言わないで!

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