2-17 試験2日目 その12 試験終了

僕は女子たちに囲まれて睨まれながら話をした。


転生のことや、今言っても分からないこと以外は、ある程度正直に説明した。彼女たちは初めは疑っていたのだが、パトリシアの話もふまえて理解してくれた。


因みに、カレンの憑依は戦闘終了後に解けて、黒色の髪になっている。


「じゃあ、私がラミアに勝てたのは、エリックのおかげってこと?」

「左様でございますが、シャーロット様たちの能力もかなり凄いと思います。修行をすれば、必ずや500年前の英雄たちに匹敵する力を得ることが出来ると思います。」

「メガネとか目薬とか忍術は?」

「エリック様が考えましたが、実際に戦ったのはシャーロット様たちの力です。エリック様はほんの少し後押ししただけでございます。」

「忍者は嘘だったのですか?」

「確かにハチベエは本物の忍者ではありませんが、忍術となればハチベエはトップクラスです。」

「魔王復活は本当なの?」

「左様でございます。ただ、他の方々に明らかにすることは、期を見てからがよろしいかと。」


ある程度話を聞いて、彼女たちはひそひそ話を始めた。こんなときのひそひそ話は長くて怖い。


「決まったわ。エリック、私たちはあなたを許しますわ。」

「え、本当?」

「色々と騙されていて、ラミアとの戦いではどうしてやろうかと思ったけど、貴方は私たちを貴族ではなく、仲間として接してくれたし、ダメなところを見つけて直してくれたし。。。」

「幻獣さんとも友達になれましたし。」

「忍術で治療魔法を使えるようにしていただきましたし。」

「という事で、許します。ただし、条件があるけど、良いかしら?」


なんだろう、ドキドキするな。


「私たちと、これからもパーティーを組みなさい!」


なるほど、そういうことか。


「そうだね、僕も大歓迎だよ。」


彼女たちは喜んでいる。


「やりましたわね、これで王国騎士団試験の合格も近いですわね!エリック、感謝しなさい!」

「もっと強くなれるね。」


良かった良かった。雨降って地固まるとはこの事か。


「ところでなのですけど。」

「何だい?」

「さっきおしりを触ったことは許していませんからね。責任は取ってもらいますわ。」


忘れて無かったか。



その後、洞窟を抜けて元の道に戻り、目的地を目指した。貴族であることや、幻獣のことなどは内緒にすることにした。

因みに、シャーロットは幻獣に対しても上から目線だ。これこそ王女の器か?


途中、魔獣に会ったが、メガネと目薬で強く?なった二人は、普通に倒せた。カレンは出番がない。そのぶん、ハチベエに質問攻めだ。だんだんとハチベエはカレンに従うようになってきた。主従契約は僕とのはずだか。。。


時間通りに集合場所に到着した。結局残ったのは5グループだけだった。昨日トラップにかけた男たちはいない。そんな気はしてたけど。


昨日の試験官が壇上に立った。


「これで試験を終了します。ここに残った君たちは、かなり合格に近いと思う。がしかし、結果が出るまでに問題を起こさないように。失格の可能性もあり得るぞ。結果の連絡は二日後になるので、初日の書類に記載した場所に待機するように。」


やっと終わった。魔獣や幻獣は大したことは無かったのだが、凄く疲れた。

僕は、彼女らと連絡先を交換し、別れた。


すでに帰りの馬車が待機していた。僕は他のグループたちのメンバーと同じ馬車に乗った。途中リタイアした受験生は、すでに帰ったらしい。

シャーロットたちは、違う馬車が用意されていた。僕らの馬車より小さいのに、護衛は多い。


馬車のなかで、彼女らは何者だ?どこかで見たことがあるが・・・と聞かれたのたが、僕もよく知らないと答えた。そりゃ気になるよね。


馬車は昨日の朝の集合場所に到着して解散となった。すでに正午を過ぎており、昼食を食べていない僕は、軽食でも食べようと宿に荷物を置いて外に出た。平日にも関わらず、街には人が一杯だ。

はなえのいる公園に行き、昨日の買い物の件でお礼をした。


「ちょっと聞いてよー」


と言って、話を始めた。


「よくよく考えたら、そもそも、夜中は店は開いていないのよ。仕方がないので、メガネ屋に忍び込んで、【乗り物酔い止めメガネ】を取り、お金をカウンターに置いていったの。そしたら、たまたま巡回警備をしていた王国騎士団に見つかって、追いかけ回されたの。【スリップサーフェス】で追いかけてきた騎士たちを転ばせてなんとか逃げれたけど、ほんと大変だったわ!」


そんな苦労を・・・どうもすみません。


代金をはなえに渡して別れた。その後メガネ屋に行った。そこでは、王国騎士団の人たちが集まっていて、犯人探しの証拠を探しているようだ。泥棒なのに、お金がカウンターにあったとか、怪しい女を見たとか。


もうちょっと落ち着いたら、【酔い止めメガネ】の改良版を作るために来ようと思う。シャーロットにダサいと言われたし。

また、薬屋に行って、良い材料を探そうと思う。クリスティーナに渡した目薬は、容器を含めて緊急で作った物なので、効果を長持ちさせることと、使いやすいように改良しないと。僕はいくつか素材を買った。


カレンは。。。今思いつかないので、後で考えよう。


僕は露店で適当に食事をし、ブラブラといくつか店を回って買い物をしたあと宿に帰り、身体を洗って、夕食を食べて寝た。


1日ぶりのベッドだったのでよく眠れた。

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