第22話-2

「会長、今日も執務お疲れ様ですわ」


「竜道寺くん」


「コーヒーを淹れました。一息入れましょう。根の詰め過ぎはよろしくありませんことよ」


 書類仕事を終えて、執務机の前で伸びをする三島隆一。

 そんな彼に近づく深窓の令嬢。


 イギリス人とのクォーター。

 金色の髪に縦巻きロール。

 同じ制服なのに、まるでドレスのように思わせる気品ある着こなし。


 そう、彼女こそは――三杉原高校生徒会の重鎮。

 三島を陰から支えるできた才女。


 そして、県内でもそこそこ名の知られた名士の娘。


 副生徒会長――。

 竜道寺麗華りゅうどうじれいかである。


 彼女の差し出したコーヒーを手に取る三島生徒会長。

 彼がコーヒーを口にしたのを見つめながら、微笑む竜道寺副生徒会長。


「ふっ、竜道寺くんの淹れてくれる珈琲はいつもおいしいな」


「まぁ、そんなことをおっしゃっても、おかわりはでませんことよ」


 そう、ここには美しく生徒会長と副生徒会長が支え合う絵があった。

 見る人が見れば、尊さで死んでしまいそうな、そんな光景が。


 しかし――。


「「たのもー!!」」


 その光景は、二人の幼馴染バカップルの手により破壊された。


「「な、何事!?」ですの!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る