第19話-4

「で? 今日は何の用だバカップル。前にも言ったが、人に尋ねる前にまずはちゃんと自分で調べて来いよ?」


「ふっ、俺たちを舐めてもらっては困るぞ店員さん」


「これでも私たち、学校ではそれなりに成績いいんですよ」


「……ほう。バカップルなのに?」


 ふっ、ただの幼馴染だと言っているのに、バカップルと誤認する。

 真実をいつまでも見抜けない、アラサー独身女性には分かるまい。


 何を隠そうこの俺は、普通科クラスで五位の成績。

 そしてみゆきはなんと――普通科クラスで三位の成績なのだ。


 普通に、国立どこでも行けるよと、進路担当の先生から言われる俺たちを舐めてもらっては困る。そこに加えてみゆきのコネで――将来は薔薇色だ。


 しかし、そんな俺達でも、この世に分からないことはある。


「いくら調べても、分からないものはあるんだ」


「そう、分からないんです」


「……深刻な顔だな。どうやら、真面目に相談に来たみたいだな」


 いつだって俺たちは大まじめだ。大まじめに属性研究をしているのだ。

 少しだって手を抜いた覚えはない。


 俺たちの気持ちを察してか、ふぅと店員さんは溜息を吐き出した。


「しゃーない。言ってみろ。知らない仲でもないんだしな」

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