第16話-8

 俺はみゆきを引き離す。

 いつもだったら、このまま長いこと抱きしめあうのだがそうはいかない。


 いくらみゆきがいい匂いがして、抱き心地がよくって、ジャストフィット感があると言っても、それに甘えていてはいけないのだ。


 そして、こういうことが平気だから俺たちはいつまでも幼馴染なのだ。


「そう!! こうやって、普通にハグ出来ちゃっている時点で、俺たちは、TSモノにありがちな恥じらいをどこかに忘れてきている!!」


「はっ!! 確かに!!」


「みゆき、お前は考えたか!! 今、一瞬でも――俺とハグすることに、これいいのかなハグしちゃってと、そういう風に考えたか!!」


「考えなかったよタカちゃん!! もう自然にハグしてた!!」


「だろう!!」


「タカちゃん好きってハグした!!」


「だろう!! 俺もだみゆき!!」


「……タカちゃん!!」


「……みゆき!!」


「タカちゃん!!」


「みゆき!!」


 抱きハグッ!!


「「「もうそれ、本編終わって付き合ってる状態!! 気づいて!!」」」


 だから、表層だけをなぞってモノを言うなクラスメイト。


 もしそうならとっくにスピンオフ作品が始まってるだろ。


 属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?+とか。

 タカちゃんとみゆきとか。

 そんな感じで。


 まったく。

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