属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?

カズシ

第1話 死んだと思いきや、新たな世界で転生しました。

 桜の花びらは風に吹かれ、春を告げる新学期。

 俺、中村優斗は交通事故で死んだ……


「俺、死んだのか……まあ、退屈な毎日だったけど、今思えば、悪くなかったかな」


「あの~早く目を覚ましてもらってもいいですか?」

 優しそうな女性が聞こえるな~

 ああ、これはきっと空耳だ。

 もし、空耳じゃなかったとしたら、俺は天国の天使に話しかけられているとか?

 まあ、そんな訳ないか……

「あの!早く起きて下さい!」

 さっきの女性が俺の体を激しく揺すりながら言っている?

 俺は恐る恐る目を開けた――

「――っ⁉」

「やっと目を覚ましましたか」

「……え?」 

 俺は一瞬、目を疑った……

「本当に困った人です。さっきから呼んでいるのに」

 だってあれだよ、目の前に黒髪の美少女がいるんだよ?

「ちょっと、聞いていますか?」

「あ、はい。それで、あなたは?」

「女神です!」

「はい?」

「だから、女神です!」

「ごめん、思考が追い付かない……」

 え、女神?

 この子、確かに女神って言ったよな?

「無理もありませんね。では、私の方から説明しますね」

「よろしくお願いします」

「あなたは選ばれたんです!」

「はい?」

 え、死後って何かキャンペーンやっているの?

「実はあなたは私が担当した一万人目の死者でして、その記念として自分が望む新たな世界で生き返ることができるんです!」

「そ、そうなんですか」

「はい!では、どうしますか?」

「え~と……」

 急過ぎる展開に、まだ頭が上手く整理できていないが、とりあえず、自分の望む世界で生き返ることができるのは分かった。

 でも、自分が望む世界か……

「決まりましたか?」

「いや、まだです」

「そうですか。では、私の方で提案しましょうか?」

「提案ですか?」

「はい!では、こんな世界はどうでしょうか?優斗様がラノベ主人公のようにモテモテの世界!そして、ヒロインの属性はすべて優斗様が決める!」

「なるほど~それ、いいですね!」

 その発想があったか!

 この女神、実にいい仕事をする。

「ありがとうございます。では、優斗様が望む世界はさきほど言った世界でいいですか?」

「はい!」

「畏まりました!それでは、ヒロインの属性を決めましょう!」

「あ、はい」

 何か、この女神、ものすごくノリ気だな。

「では、メモをするので、属性を言って下さい」

「分かりました。じゃあ、ツンデレ貧乳ヒロイン、ロリ巨乳後輩……」

 ラノベであるような属性を言ってみたものの、俺、ラノベ読まないからあんまり分からないんだよな……

「そうですね……あとは、お姉さん系幼馴染とか義理の妹とかもいいですよね!」

「は、はあ……」

 何で、この女神こんなに詳しいんだよ!

「実は私、下界のラノベが大好きなんです!」

「そ、そうなんですか。じゃあ、今言った属性を追加で」

「畏まりました!それでは以上でよろしいですか?」

「はい」

「それでは転生しますね!神よ、我らに祝福を!」

 その瞬間、あたりが光に包まれた――


「起きて下さい!朝ですよ!」

「う~ん」

 聞き覚えのある声がする……

「優斗様!」

「は、はい……」

 俺は女性に名前を呼ばれ、目が覚めた。

「早く起きないと、遅刻しますよ」

「……え?」

「どうしました?」

 目を覚ますと、女神様が全裸で馬乗りになっていた。

「どうしました?じゃないよ!何で、女神様がここにいるの⁉それに、どうして全裸⁉」

「私も優斗様と同じくこの世界で生活をすることにしました!あと、この格好はラノベでは殿方を起こす時には定番なので、私もやってみました!」

「そ、そうですか……」

 ちくしょー、ラノベの主人公最高じゃねぇーか!

「はい!」

 女神様が満面の笑みで言った。

「あと、しました!じゃなくて、女神の仕事とかはどうするの⁉」

「女神ならもうやめました。あの仕事、結構飽きていたんですよね~そんな訳で、お姉さん系幼馴染として、転生しました!」

「えぇぇぇぇ――‼」

 女神ってそう簡単にやめれるものなんだな……

「それでは、今日から私のことは神崎明日香と呼んでくださいね、優斗」

「あ、はい……」

 てか、全裸のままなんだ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る